夕食後の高須家
大河「むにゃむにゃ…眠い…今日はここで寝るわ…」
竜児「あのなー、百歩譲って俺の家で寝るのはもう良しとしよう。
   でもな、お前、俺の足を枕がわりにして寝るのは…」
大河「うるさいわね、いつもの事じゃない」
竜児「はあ…。そうだ、大河! 耳そうじをさせてくれ。高須特製耳かきで」
大河「明日にしろ! 私は寝るのよ!」
竜児「頼む大河。今ここでお前の耳の中見てたら無性に掃除したくなったんだよ。
   俺は、汚れている所があったら掃除せずにはいられない性格で、ギャー、耳を引っ張るな!」
大河「あーら、私の耳が汚れてるとでも言うの? 犬の分際でご主人様に失礼な事言うだなんて。
   耳の穴かっぽじってよく調教しなくちゃ」
竜児「少しは手加減しろよ! 耳が取れるかと思ったぞ!」
大河「まったく、あんたが馬鹿な事言ったせいで眠気が取れちゃったじゃない。
   いいわ、耳掃除させてあげる。やるからには耳くそいっぱい取りなさいよ」
竜児「おう! 取るぜ〜、超取るぜ〜」
・・・・・・・・・・
竜児「ったく、こんなに耳くそ溜まるまで放置しとくなんて…」
大河「さあ、竜児、今度は竜児が私を枕にして寝なさい」
竜児「い、いきなり何言ってんだよ」
大河「何興奮してんのよ。耳掃除よ」
竜児「え?」
大河「今度は私が、あんたの耳くそを取ってやろうって言ってんの!」
竜児「け、結構です!」
大河「何遠慮してんのよ! 飼い犬の耳掃除をしてやるのはご主人様の義務なの」
竜児「いや、勘弁してください! 命にかかわる…」
大河「いいから早く横になんなさい!(無理やり竜児を押し倒す)」
竜児「だ、誰か、助けて…」
大河「ご主人様がやさしく耳掃除をしてやろうって言うのよ。感謝しなさい。
   あらやだ! 結構溜まってるじゃない。これは取り甲斐があるわ。(ブスッ)」
竜児「ギャー!!!!!」
鼓膜が破れた竜児は翌日、耳鼻科に行きましたとさ




数日後、夕食後の高須家
大河「ねえ、今日の夕食、スーパーの冷凍食品ばかりだったわよね。何で?」
竜児「今日は耳鼻科に行ったからな。時間がなかったから簡単なもので済ませた。
   ったく、お前には二度と耳かきを持たせねえ。今日だって耳から血の塊が出てきたんだぞ。
   ほんと、あの時は死ぬかと思ったよ。まあ耳かきが頭を貫通しなかっただけましか」
大河「…」
竜児「どうした、大河」
大河「…(グスン)」
竜児「な、なぜ泣く! 俺、なんか悪い事言ったか?」
大河「うるさいわね…」
竜児「怒ってんのか? 俺がネチネチとこの前の事を蒸し返してきたから怒ってんのか?
   す、すまん! 俺が悪かった! もう耳の事は言わないから! だからもう泣くな!」
大河「違うの! 竜児は悪くないの!」
竜児「じゃあ、なぜ泣く?」
大河「だってだって…私のせいで…竜児が怪我して…私…自分が嫌になっちゃう…
   竜児はいろんな事が出来るのに…私はドジばっかりで…(グスン)」
竜児「そんな事気にしてたのか」
大河「こんなドジばかりしてたら…いつか竜児が…私の事嫌いになるんじゃないかって…
   そう思うと悲しくて…悲しくて…(グスン)」
竜児「大河! そんな事俺はちっとも気にしない!」
大河「…ほんとに?」
竜児「おお! 例えばだぞ、ドジだからという理由で娘のことを嫌いになる父親なんていないだろ?
   お前がどんなにドジでも、俺はお前を見捨てたり嫌いになったりしねえ。だから安心しろ」
大河「りゅうじ…うえ〜ん!(竜児に抱きつく)」
竜児「よしよし、もう泣くな。大丈夫だからな。俺はずっとお前の傍にいるからな」
大河「竜児…今日もここで寝ていい?」
竜児「ああ、もちろん! 膝の上でも何でも好きな所で寝ろ」




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