暗闇の学校のプール
昼間では馬鹿にされるから、と竜児と大河は、そこにいた。
ゲコゲコゲコと、プールのどこか外で歌うカエル達を背に、プールサイドで談話する二人であった。

竜児「ほらビート板が無くても息継ぎくらい出来るようにしなきゃ」
大河「あーあ、昼間に市民プールに行けばいいじゃーん」

竜児「勿体ねーだろ。少しでも節約出来んなら、この際なんだっていい」
大河「分かったわよ!じゃあ浮いたお金で帰りはアイスとプリンの両方だからね!」

竜児「分かった分かった。んじゃ入るぞ」
チャプンと、音を立てないよう、静かに水に浸かる二人

竜児「んじゃ、ビート板で得た要領を駆使して泳いでみ…っおい!」
「ふがふがっ」と沈んでいく大河を竜児は抱え上げた

竜児「…お前風呂で溺れたりしてねーだろーな」
大河「うるさいっ!手ぇ離さないでよ!?」

竜児はしっかりと手でチッコイ体を支え、ハァとため息をつく
大河「んじゃ進んで」
竜児「意味あんのか?これ」
竜児は大河の体を支えながらスーッと水中を歩く。
大河はキャッキャ笑いながら、水面から顔だけを出し、水の中を手でかき、足をパタパタさせる。

大河「これななら手ぇ離されても大丈夫じゃない!?」
竜児「そうか?んじゃ離すぞ?」

竜児はスーッと、そのチッコイを前に押し、大河はそのままパタパタと水をかいて前に進んでいく。
「ぷぅ…ぷぅ…」と、水面から顔だけを出して。

大河「見て竜児!アタシ泳げてるじゃない!前に進んでるー!ニャハハハ!」
竜児「…大河、そりゃ『犬かき』だ」

大河「泳いでるのには違いないでしょ!犬はお前だ!」

『犬かき』をしながら、くるくる回って竜児の所まで戻ってくる大河。

大河「竜児ー、だっこー疲れたー」
竜児「水中に慣れてないから普段使わない筋肉でも使ったか?」

チッコイ体を持ち上げると、ミニトトロのように竜児の体にしがみつく大河。

その時である。
「ゲコゲコゲコゲコ…ッ」

しーん…
ボチャン!ボチャンボチャン!

大河・竜児「ぎゃああああああああああ!!!!」

予期せぬプールへの侵入者達にビビりまくる二人は、プールサイドにかけ上がった。
もちろん大河は竜児の体にしがみついたまま…



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