夏休み、川嶋の別荘に行く数日前。
みのりんを怖がらせるために心霊音声集を作る大河だったが…

竜児「おう、もう12時か。そろそろ寝ないとな」
(プルルルル、プルルルル)
竜児「びっくりした…。どうした大河、こんな時間に電話してくるなよ」
大河『りゅうじぃ…りゅうじぃ…ぐすっ』
竜児「どうした、大河! 何があったんだ!」
大河『おねがい…大変なの…今すぐ来て…』
竜児「わ、分かった、すぐ行くから待ってろ!」
(竜児、大河の家に急行する)
竜児「大河、どうした!」
大河「竜児! 奥から変な物音がするの!」
竜児「ど、泥棒か?」
大河「分からない…。私が心霊音声集なんか作ったから、悪い霊を召喚してしまったのかも…」
竜児「はあ?何だよそれ…」
竜児(何でわざわざ俺を呼んだんだ?大河なら泥棒や幽霊くらい木刀で一撃だろうに…)
(数分後)
竜児「どの部屋にも誰も居なかったぞ。お前の聞き間違いじゃねえのか」
大河「よかった…」
竜児「じゃあ、俺は帰るからな」
大河「ま、まってよ…(帰ろうとする竜児の腕をつかむ)。お願い、今日だけ竜児の家に泊めてよ」
竜児「え…? ちょ…ちょっと待て、いくらなんでもそれは…」
大河「な、何よ!か弱い少女を置き去りにして帰ろうって言うの? あ、あ、あんたはご主人様を守る番犬なのよ!
   ちゃんと言うこと聞かないなら今度の旅行だって協力してやんないんだから!」
竜児「わ、分かった! 分かったから泣くな! 今日一日だけだぞ」
大河「ふん! 最初からそう言いなさいよね、まったく!」
竜児(もしかして…こいつ、単に怖くなって俺と一緒にいたいだけなのか? 物音がしたなんてのも嘘なんじゃ…)
大河「ねえ、竜児…泣いたらなんかお腹すいちゃった」
竜児「ったく、しょうがねえな…。チャーハン作ってやるよ」
大河「うわーい! 竜児のチャーハンだー!」
竜児「お、お前…何、手なんかつないで…」
大河「夜道は危険だから仕方なくつないでるだけよ! あんたも、これしきの事で赤くなるなんて、まだまだ子供ね」
竜児(ったく、素直じゃねえなあ。でも、自分で作った心霊音声集を聞いて怖くなるなんて、
   けっこう可愛いところもあるんだな)
大河(お互い、好きな人は違うけど…たまにはこんな夜があってもいいよね…)




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