「ねぇ竜児」
「何だ?」
「アンタは……みのりんが好きなんだよね?」
「っ!?き、急にどうした?」
「ん……なんでもない」
「そ、それよりほら、今日はもう遅いから帰れって!!」
「……?まだ11時じゃない」
「じゅ、十分遅いだろ?」
「なんかさ、最近竜児冷たくない?」
「そ、そんなことないって!!」
「そっか、わかった。今日はとりあえず帰るね」
「おぅ気おつけて帰れよ」
「うん、ねぇ竜児……」
「な、何だ?」
「……やっぱりいい」
「???」
「(私、いつのまにか、こんなにも、どうしたって竜児のことが……)」

***

「おはよう高須君!ってどうかしたの?大河と喧嘩でもした?」
「あ、櫛枝。俺、もうだめかもしれない」
「???」
「大河のことがどんどん可愛く見えて、最近は大河のことばかり考えてて、このままだとあいつのこと好きになっちまう」

***

「あ、みのりん……と竜児?そう、だよね。やっぱり、竜児は……」




「お、逢坂じゃないか。一人か?高須はどうした?」
「あ、北村君。竜児なら今みのりんと話してるみたい」
「そうか」
「ねぇ北村君。あんまりご利益ないかもね」
「む?」
「失恋大明神。私、これで良いってわかっていてもどうしたって竜児のことが好きなんだもん」
「そうか、高須は幸せだな」
「ううん。竜児は好きな人、いるから……」

***

「大丈夫だよ高須君!大河だってきっと高須君のことが……」
「いや、俺はアイツの好きな奴を知ってるんだ。だからこの気持ちは封印しなくちゃならない」
「………………」
「俺が竜としてアイツの傍らに居続けるにはそうするしかないんだ……」
「何言ってるんだよ高須君!!確かめもしないうちからそんな事言って!!」
「でも……」
「ほら大河のとこ行こ……たい、が……?」
「ん、どうした櫛枝?」
「あ、いや何でもないよ!!」
「あ、あれは大河と……北村か。そうだよな。悪い櫛枝、俺今日はもう帰るわ」
「あ、高須君?もう次の授業始ま……」
「じゃ……」


擦れ違い急ぐたびに、ぶつけ合いちぎれ合う。




「大河……」
「あ、みのりん」
「高須君今日はもう帰るってさ……」
「え?だってまだ……」
「ねぇ大河」
「な、何?」
「大河は高須君のことどう思ってるの?」
「どうって……りゅ、竜児は……その……」
「嫌い?」
「嫌いじゃない!!竜児はチャーハン作ってくれて、一緒にいてくれて、嘘ついてまで元気付けてくれて……」
「………………」
「そんな竜児のことが私は……!!」
「なら追いかけなよ」
「……え!?」
「大河が心からそう思うなら、追いかけなよ!!いや、追いかけろよ大河!!」
「で、でもこれから授業だし、竜児が今何処にいるかなんて……」
「大河!!」
「……ありがとう、みのりん。私今日は早退する」
「うん、行ってこい!!」
「うん!!」

***

「痛っ!!くそっ!!やっぱ俺じゃ無理か……」
「あったりまえじゃん」
「!?大河!?」
「もう、随分探したよ竜児……」
「どうしてお前ここに……学校は?」
「アンタに言われたくないわよ。まさかここにいるなんてね……」
「………………」
「その電柱、一人で蹴り倒す気だったの?」
「……悪いかよ」
「無理ね」
「なっ!?」
「それは、アンタと私が一緒になって初めて上手くいくのよ」
「え……」
「ねぇ竜児、私さ……アンタがみのりんを好きでもいい。私は……アンタが好き!!この気持ちは諦めない!!」
「大河!?だってお前は……」
「前は関係ない!!今私は……」
「大河……」
「アンタは竜なんでしょ!?私と並び立つんでしょ!?ずっと……ずっと傍にいてくれるんでしょ!?」
「俺は……お前を好きになってもいいの、か?」
「アンタは約束したんだから。この私と。傍にいるって!!」
「大河ーーーーー!!!」
「竜児ーーーーー!!!」




「なぁ大河」
「嫌」
「まだ何も言ってないぞ」
「だいたいわかるもの」
「いや、わかってるなら……」
「い・や・だ!!絶対今日はこの手離さない!!」
「手っていうか腕っていうか」
「アンタは約束したんだから。私から絶対離れないって。もう約束破る気?」
「いや、そんなことはねぇけどよ」
「じゃあいいじゃん」
「でも料理しずらいし、お前も動きにくいだろ?」
「そんなもの、もろくに葬り去ってくれるわ!!」
「……お前らしいな」
「今日は……竜児と離れたくない」
「大河、本当に俺で良かったのか?」
「さっきも言ったでしょ?前と今は違う。アンタこそみのりんが……」
「俺はもう随分前から……いや、お前と並び立つと決めた時からきっとお前の事が好きになってた」
「え!?う、嘘?そんな前から……?」
「あ、き、気にするな」
「私ってどれだけひどい奴だったんだろうね。そんな竜児に北村君とのこと手助けさせようだったなんて……」
「大河……」
「でも、今の私には、ううんこれからの私には竜児が必要なの」
「ああ」
「絶対絶対必要なの!」
「ああ」
「絶対絶対絶対の絶対……」
「わかってるよ、大河」
「りゅ、うじ……」
「ずっと傍にいる。俺はこうして世界が隠した誰も見たことないものを見つけたんだから」
「?何のこと?」
「ん?それはな、優しくて、とても甘いんだ……」
「竜児?」
「これかも俺達は喧嘩したり、いがみあったりするだろうけど、きっとそれでもずっと一緒にいる」
「そうだね」
「ああ、きっとそういうふうになっているさ」

HAPPY END!!




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