隠蔽できなかった場合。

「ばかっ変態っ変態っ!一体何をする気だったのよ!」
「ちょ、ちょっとっ待て大河!いだだだっ!話を聞けっての!」
「う、うるさいうるさい!聞いてられるかぁっ!(ズキッ)ううっあ、頭いたい…。」
「だからっ!ってその前に薬飲めっ泰子用だけど大丈夫だろ。」
錠剤二粒を渡してやる。
「(ゴクン)ていうか…私はなんであんたの布団で寝てるのよ。全然記憶無いんだけど…」
「いいか?よく聞け、お前はな、飯を食って腹一杯になりすぎてトイレに行った。その後に炭酸を飲んだと思ったら、俺が泰子用に買ってきた缶チューハイと間違えて飲んだんだ!」
「ええ?」
「でだ、結局すごく酔っ払って、それで…キ、キッ…いやなんでもねぇ!とにかくっ大変だったんだ!」
「でもそれが本当だとして何であんたが一緒に寝てるのよ。」
「うっ…!そ、それは…」
「な、なによっ!やっぱり変なことしようとしたんでしょ!?」
「い、いやっそれはない!断じてない!」
「信じられないし…それに何で挙動不審なのよ。ますます怪しいっての。とりあえず帰るっ!」
「え!ちょっと待てって!」

フンっ!と帰ろうとする大河。それを必死に止める竜児。このまま誤解を招いたまま帰らせるわけにはいかない。 

「リュ…リュ…リュウジィ…?」
「インコちゃん…?今はかまってあげられないんだよっ」
必死に大河の腕を掴みつつ、インコちゃんを説得する。
「放せっての!いいからブサ鳥と戯れてなさいよ!ほらっ呼んでるってば!」
強引に竜児の手を引き剥がし急いで帰ろうとする大河。
「…リュ…リュウジィ…チュウ…シテ…」
「イ…インコちゃんっ!?」
「え?」
ピタッと足を止める。そしてそのままロボットのようにインコちゃんの元に歩み寄り、カバーを外し震えながら呟く。
「ねぇ…い、今なんて…言った……?」
ガタガタ鳥かごを揺らす。
「あわわわわ…」
「…チュウ…シテ…リュウジィ ダ…ダァ…ダァイスキィ…」
「う、嘘でしょ?竜児…これって…冗談…よね?いつし、し、仕込んだの?」
「……さ、さぁ…?な、なに言ってんのかな…は、はは…」
「リュ…リュウジ…ト…ネ…ネル…」
「インコちゃんっ!」
「今、竜児と寝るって言ったよね…?ねぇブサ鳥…。いきなり、こんな事言わないよね普通。」
「お、おう…どうしちゃったのかな?なははは…変だなインコちゃん…」
「竜児…正直に言って。怒んないから…私…あんたとキ、キ、キスしちゃった…の?」

顔を真っ赤にして竜児を見つめてくる。昨夜とは状況が違うが、同程度の赤さだ。頭の痛みなどとうに忘れているようだ。

「ああう……その…ちょ、ちょっとだけ…」
「ちょ、ちょっと…だけ…?じゃあやっぱり…し、ちゃ、ったんだ…」
バタンとその場に倒れこんでしまった。
「た、大河!?しっかりしろぉ!おい大河ぁ!!」


結局、大河はそのまま夕方まで気絶し続け、当然学校を休んだ。
竜児もそれに付き添うように、大河のそばに居続けた。

大河が目覚めて傍にまた竜児がいればまた一騒動起きるのは当然であった。

       番外編おわり。


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