大河「あの日からちょうど一年…竜児喜んでくれるかな?」

そう、もうあのラブレター事件から一年が建つ。大河と竜児が知り合うきっかけになった、ドジな事件。大河はそっと、竜児の机の上のカバンへ、可愛らしい便箋を忍ばせた。
大河「ちゃんと手紙は入れたし、バッチリ!」

竜児はまだ進路を決めかねている。未だに毎週放課後には職員室に呼び出されるが、今回は好都合。そしてこうして教室で竜児を待つのが、大河は好きだったりもする。

ガラガラッ

竜児「悪い大河、待たせたな!帰ろうぜ。ってなんで隠れてんだ?」
大河「…な、何でもない。さ、りゅう…!」
大河は竜児に目をやった。カバンを…持っている?
大河「あれ?あ、あんたのかば、カバンはそれじゃ…」
竜児「あぁ、それは北村のだ。あいつも生徒会で職員室に呼ばれてたよ、それまでそこでしゃべってたからな。さ、大河、帰るぞ。」
また間違えた…!頭の中が恥ずかしさとみっともない気持ちでいっぱいになる。どうしようどうしよう…逃げてしまいたい。逃げる?
竜児「おまえ顔色悪いぞ?貧血か?おい、大河?」
大河「…竜児のバカ!」
そう言うと同時に走り出した大河。何やってんだろう、ムチャクチャだ!そう思っても足は止まらない。
竜児「…なんかこの感じ、この状況、なにかに似てるような…?」
…そうか!とっさに北村のカバンをあさり始める竜児。やっぱりな…と呟く。一年前のあのときと同じドジ。竜児は便箋を大事に自分のカバンへしまった。折れないように教科書に挟んで。
竜児「まったく…変わらないな、あいつも。さ、今度は北村が闇討ちされたら大変だ。急いで追いかけるか。」

竜児は黒板に北村宛てのメッセージを残して走り出した。


ーーーーーーーーーー
北村が教室に戻ると人だかりが出来ていた。こんな放課後になんだ?
北村「どうしたんだ、みんな?」
おい、生徒会長呑気だな…生徒会長ヤンキー高須に何したんだろう…高須くん最近頻繁に職員室に呼ばれてるらしいよ…。ボソボソと話が聞こえてくる。北村は人を掻き分け教室に入った。すると飛び込んできたのは黒板の文字。

「北村、夜道には気をつけろよ! by高須」

…意図はわからんが、気をつけた方が良さそうだな。それと毎年のことだが…とりあえず高須への誤解を解いてやるか、そう心の中で呟くとみんなを教室へと招き入れて説明を始める北村であった。




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