――俺は生まれてきてはいけない命。俺が存在してしまったせいで泰子の…そして両親たちの歯車を壊し、狂わせた。ある一家の幸せ…その当たり前の幸せを消した。


――私が望むものはそんなに難しいものじゃないはずなのに…。みんなは簡単にそれを手に入れているのに…。だけど望みとは反対のものが…壊れたものが目の前にある。


なんで俺は生まれてきた?泰子が望んだから?…きっと違う。そうだとしても、それは間違いだ。幸せを消してまで俺を…そう、俺は生まれてきていい命じゃなかった。


例え何かを得ても、大切な何かを失う。どうしても幸せにはたどり着けない。「普通」にさえも、手が届かない。…私は存在しても意味がない。どうせならいっそ…


でも今はそうは思わない。生きる意味を見つけたから…あいつの傍にいたいから…必要とされる命だと知ったから…


だけど私は見つけた。消えない光…幸せ…それはいつも私を支えてくれた。いつも傍にいてくれた。




竜児「…なあ大河」
大河「…ねえ竜児」

!……

竜児「…な、なんだ?」
大河「え?…んと…竜児こそ何よ?」
竜児「あ、いや俺は別に…」
大河「わ、私だって別にたいしたことじゃ……」



―――ありがとう―――


聖夜近づく とある1日



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