<卒業>

卒業式前夜。帰り道。

竜児「とうとう明日卒業式か。今になって思うと短かったような気がするな」
大河「そうね。色々あったけどね」

そう言って暫し黙り込む二人。

竜児「・・・なあ大河?」
大河「・・・なに?」
竜児「おまえの・・・一番の思い出ってなんだ?」
大河「・・・」

考え込むように手の平をみつめる大河。
即答じゃないことに竜児が静かに傷つく。

竜児「そんなに迷うのか・・・なんかショックだ・・・」
大河「想い・・・叶っちゃったこと」
竜児「え?」
大河「望んだものが・・・手に、入ったこと」

そう言って大河は竜児を見上げた。
そこで気付く。さっきのは考え込んでたのではなく、感慨に耽っていたのだと。
どちらともなく歩をとめ、お互い正面から見詰め合う。
見上げる大河。
見下ろす竜児。
その距離は、手に入れたものの何よりの証だった。

大河「手紙を入れ間違ったのがあんたでよかった。あの日廊下でぶつかってくれてありがとう、ヤンキー高須」
竜児「襲撃してきたのがおまえでよかった。面倒を見させてくれてありがとう、手乗りタイガー」

言い終えて「なんだよそれ!?」と、思わず吹き出す二人。
こんな軽口が言えるようになったこの2年間を、二人はきっと忘れない。

大河「竜児」
竜児「大河」
大河・竜児「これからもよろしくね!」な!」

そして手を繋いで二人は歩き出した。
目に見える未来に向かって。



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