この世界の誰一人、見たことがないものがある。
「ねぇ、竜児」
それは優しくて、とても甘い。
「何だ、大河」
多分、見ることができたなら、このスレを見ている人たちはそれを欲しがるはずだ。
「時間とともに、とらドラを見る人って減るのかな?」
だからこそ、誰もそれを見たことがない。
「……多分そうだろうな」
そう簡単には手に入れられないように、ゆゆこ先生はそれは隠したのだ。
「私たちのことも忘れられちゃうのかな?」
だけどいつかは、誰かが見つける。
「……もし、そうだとしても」
手に入れるべきこのスレを見ている一人一人が、ちゃんとそれを見つけられる。
「俺はお前を忘れない。竜として、お前と一緒にいる。そしてそれは、俺達を知ってくれている人たちが、何処かで覚えていてくれる」
きっと、そういうふうになっている。