文化祭(原作版アフター)


高校三年の中で最後のナイトファイヤーを竜児と大河は揃って見ていた。

竜児「終わったな。最後の文化祭」
大河「あっという間だったね」

クラスの出し物も成功した。
高校生という時間の中で精一杯、出せるだけのものを出した。
炎が生徒達と夜空を明るく照らす。
竜児はある決心をしていた。
去年の文化祭でなしえなかった事。
それを最後の文化祭で成し遂げる。

竜児「踊ってくれないか? 大河」

立ち上がって手を差し伸べる。

これが竜児の望んだこと。
高校最後の文化祭 愛する人と共に踊る。

大河は若干頬を赤く染めながら竜児の手を取った。
騎士が姫をエスコートするように。
二人は互いの手を取り合ったままかがり火の前へと歩む。

それを見ていた文化祭の責任者 北村は流れている音楽を変えた。
ラジカセが奏でるのは切ないラブソング。

すでに大半の生徒は踊るのをやめている。
残っているのはほとんどがカップルだ。
なら、少しくらいこの時間を恋人達にプレゼントしても罰は当たらないだろう。

竜児「思い出すな。去年の文化祭を」
大河「うん。今だから言えるけど、あたしアンタとも踊りたかったんだよ?」
竜児「俺もだ」



270 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2009/03/29(日) 00:01:09 ID:n0V5nrFb
二人は時間を忘れ、舞踏を続ける。
彼らの目にはお互いしか映っていない。

―この時間が永遠に続けばいい―

だが、どんなに楽しい時間にも終わりの時はやってくる。
数拍の余韻を残して音楽が止んだ。

大河「……終わっちゃったね」
竜児「いや」
大河「?」
竜児「文化祭が終わっても俺と大河の生活は終わらない。これから、10年、20年先も俺たちはずっと一緒なんだから」
大河「竜児!!」

竜児がその言葉を言い、大河は感極まって抱きつく。
それと同時――。

「おめでとう!」

クラスメイト達が、下級生達が、教師達まで、拍手と喝采と冷やかしのエールを贈る。
二人は周りを見た。
曲が終わるまで踊っていたのは自分たちだけだ。
その上であんな告白をしたものだから人々が沸き立った。

普段なら竜児は照れ、大河は羞恥から暴れただろう。
だが、この瞬間は違った。

「大河――」

竜児は大河を思い切り抱き寄せると優しく唇を奪う。
そして人々に向け親指を上に立てサムズアップを決めた。

人々が騒ぐ中、文化祭は最高の盛り上がりを見せた。
二人は新たな武勇伝を母校に刻む。
後に手乗りタイガーとヤンキー高須は大橋校の語り草となり、とある女流ライトノベル作家によって全国的に有名になる。

だが、それは当分後の話。
今はただ愛ある竜と虎に乾杯を。




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