散歩 〜天体観測〜


大河「あ…竜児〜、ブサドリ寝たわよ」
竜児「だからブサドリって言うなよ。…とはいえこれだけは見てられないな(パサ」
大河「竜児も認めなさいよ。あれはブサドリだって」
竜児「いや、あれは大事な大事なインコちゃんだ。ブサドリじゃない」
大河「あっそ……あ…ねえ、散歩行かない?公園まで」
竜児「散歩?なんでいきなり…今から?」
大河「そ、今」
竜児「…別に構わねえけどよ…もう11時過ぎだぜ?」
大河「いいじゃない。なんか今ひらめいたの。…なんでかはわかんないけど、いいことがある気がするのよ」
竜児「いいこと?」
大河「うん。…ホントよくわかんないけどさ……ねえ、行こう?」
竜児「…なんかよくわかんねえけど…わかったよ。外に涼みに出るのもいいかもな。よし行こうぜ」
大河「うん!行こ〜行こ〜!」





竜児「あ〜…外は気持ちいいなあ〜…」
大河「ね?外に出て良かったでしょ?」
竜児「まあな。たまにはいいことをひらめくんだな」
大河「たまには、って何よ?……本当はね…竜児と…」
竜児「…俺と?」
大河「……ただ…歩きたくなっただけよ…なんとなく…」
竜児「……そっか」


大河「あ、着いたわね」
竜児「あそこのベンチに座るか」
大河「そうね」
竜児「よっと……って…おまえは俺の膝に座るのかよ」
大河「…い、いいじゃない…別に…//。ここが…落ち着くのよ」
竜児「…俺もこうしてると落ち着くよ」
大河「…あ、空見て…星がたくさん…」
竜児「…本当だ、この街でこんなに星が見えるなんてな…珍しいな。お、夏の大三角形だ」
大河「え?どれどれ?」
竜児「ほら、あれとあれとあれ。他の星よりも強く光ってるだろ?」
大河「……あ、わかった!…ホントだ、あの3つだけ目立ってる」
竜児「で、その中でも光が強いのが織姫で下側が彦星」
大河「そうなんだ…へえ〜…」
竜児「近くにいるのに遠く離れてる、か……なんかまるで…」
大河「ずっと前までの私たちみたいね…」



竜児「ああ…あんなに近くで…ほとんど一緒にいたのにな…」
大河「こうなるまでに一年近くかかったね…」
竜児「空の二人は、姿は見えてるのに見えなくて…俺たちは…」
大河「本当の心…自分の心が見えなかったんだね…見えそうなときはきっとたくさんあったんだろうけどね…」
竜児「見ようとしなかったのか…見てはいけない気がしたのか…よくわかんねえけどなんでだろうな…」
大河「でも最後には見つけたよ…【竜児】を…」
竜児「俺も見つけた…【大河】を…」


竜児「…どうする?そろそろ帰るか?」
大河「…もう少しこうしてたい…」
竜児「…おう(ギュッ」
大河「…ヘヘヘ//………あ!あれって北斗七星?」
竜児「ん?ああ、そうそう。そこからこっちに行くと北極星があって…」
大河「あの辺には何かないの?」
竜児「え〜っと…あれがいて座でとなりにさそり座…だったかな〜」
大河「カニは〜!」
竜児「カニは春じゃないと―――」


帰り道も二人は空を指差しながら歩いた。星の落ちてきそうな夏のとある1日





作品一覧ページに戻る   TOPにもどる
inserted by FC2 system