ショートショート小噺
〜とらドらくご!〜




ようこそのお運びで、厚く御礼申し上げます。

新学期、みんなはどう過ごしてる?新入生は友達100人できたかな?
新しい季節、新しい出会い、あぁ!なんて素敵な響きっ!
いや、わたしゃ振られた?振った?ばっかで傷心なんですけどね、実際……ふふっ……。
はぁっ……あー……勿体無い事した……家事ヨシ、気立てヨシ、理解ヨシ。逃がした恋(鯉)はおおきいなぁー……。
あんな有料物件、そうそう滅多にお目にかかれねーぞ……。
……あ、いかんいかん。せっかく親友のために身を引いたんだ、いまのナシね。

えーと、何が言いたいかっていうとだね、出会いや友達、恋は大事にせーよ!ってこと。
いろんな出会いが人間を成長させるものなのだ!でも、大事なものも手に入れたんだー実際。
恋は逃したけど、新しい親友ができたんだ。

そうそう、その子実はモデルさんでねー。あーみんって言うんだぁ。去年の夏に、その人の別荘へ友達みんなと遊びに行ったのよ。
海辺の別荘でねー。青い空ぁ―広い海ぃ―こんな私の―――……あぁ、ギルガメッシュが出てくる大橋(ビッグブリッヂ)とちがうよ?
わかる人は年代わかるから慎もうね。うん。いやー、心が洗われるってこういうことを言うんだなー
って、…え、なに?言うほど苦労していない?いやいや、こう見えても仕事多いですからねー。部活にバイトに受験。いまだってこうしてしゃべってる。
ポテトフライ盛るだけじゃないんだぜ?バニラアイスだって盛っちゃうぜ!そんな私は差し詰め「盛りの妖精」――――。
あ、いやいやそんな話じゃないんだよ。あ、でもキューピットにはなったかもねー。……なったのか?










上手(顔が左向き)=大河  下手(同右向き)=竜児

「つまり、この作戦が終わるころには、あんたはラブラブ両想いなんだから、もっとしっかりしなさいよね。」
「ハイハイ、わかったわかった」
「返事だけじゃなく、態度で示しなさいよ!いい?ばかちーによると、この海岸から1KM先に、小島があるらしいの。先回りして準備しておくのよ。」
「…おぅ……どうやってそこまでいくんだ?」
「ばかちーが水上バイク貸してくれた。」
「良くそんなもの借りれたなー。後でお礼言っとかなきゃな。」
「いいわよ、言わなくても。」
「いやいや、お礼くらい言わなきゃダメだろうが。」
「言う義理無いもの。」
「いや、そこまで仲悪いのか?」
「黙って借りたから。」
「コラ!」






そんなこんなで悪巧みが続きますが、当のあーみんは見てました。さすが腹黒r……いや、狡猾t……頭の切れるお人だぁ。


上手(顔が左向き)=川嶋  下手(同右向き)=櫛枝

「あーみん、いいの?」
「竜虎揃って暴走ね。……まぁいいわ。あれ、前に東京から取り寄せたんだ。どうせ後で出して遊ぶ予定だったし。」
「わざわざ取り寄せたんだ?TOKYO特急特別配達!翌朝10時のお約束!」
「いや、多分わかんないから……でも今年メンテしてないのよね。大丈夫かどうか、あいつらで試させてもらおっかなー。」
「なんかあったらどうするの?」
「ここの海岸から島まで、潮が引くと歩いて渡れるの。とりあえず帰れるから問題なーし。」
「そかそか。」
「問題あっても、二人きりならそれはそれで、邪魔者無しで問題なーし。」
「そかそか。……え?」





そんなこんなで、島まで渡った二人でしたが、着いたとたん水上バイクが動かない。これはワカメの呪いか、ソニータイマーか。


上手(顔が左向き)=大河  下手(同右向き)=竜児
「何で急に動かなくなるのよ!?」
「うーん、……わかんねぇ。」
「ばかちーの仕業だったらとっちめてやる!」
「勝手に借りてそれはねーだろう!」
「じゃあ燃料切れとか?」
「いや、燃料は入ってる……って、これ、動力、テンプラ油みたいだぞ!」
「そんなんで、動くわけあるかーーーー!」
「ここ、燃料はテンプラ油って。」
「……ほんとだ……書いてあるわね……」
「どうせ取り寄せたって、変なものならしょうがないのにな……」
「わざわざ東京からって言ってたのに。TOKYO特急特別配達!翌朝10時のお約束!……いや、いいわ……。帰ったら、ばかちーと販売会社にクレームつけてやるわ!」
「黙って借りた上にクレームかよ!?まぁ、型式プレートを見ればわかるかな。一応連絡先を調べ――――」
「どうしたの?」
「……あいつ、東京から取り寄せって言ったよな?」
「そうね。」
「うごかねぇのは川嶋の仕業でもねぇ。……マジだ!」
「え?……え!?」
「…取り寄せ元はTOKYOじゃねぇ。TOKIOだ……。」
「ああぁぁ……どうりで燃料がテンプラ油な訳ね……。」
「どーすんだよ?これ?」
「安心して、あんたが動かせばいいのよ。」
「どうやってだよ?」
「燃料は根性。」
「無茶言うな!」
「とにかく原因を調べないと、帰れないわ。由々しき事態よ!」
「うーん、あとは、バッテリーとか……。」
「そんなもの、そのへんに落ちてないものね。」
「いや、櫛枝がいれば問題ない。」
「なんで?」
「ピッチャー櫛枝に代わりまして、クローザー高須!」
「そのバッテリーじゃない!」
「急激に落ちるシンカーが売りなんだぜ!」
「それは高津!」
「じゃあロボット部隊で編成――」
「それはSAGA・2!」
「――その辺がわかるのは、あいつの悪い影響だぞ……。」








とか何とかしているうちに、日も少し傾き始める午後3時。
このままではラチがあかないと、騒いでいると、水上バイクのボックスに非常用セット(そんなもの、ほんとにあるのか?)があるのを発見!
これは渡りに船!いやいや、船は動かなくなったんだが。
兎に角あけてみると――――――

「見た目は防災セットみたいだな。」
「あ、緊急用の携帯ゴムボートがあるわ。後は……ゴーグル?テント?厚手のシート…コップにティーセット……――――」
「――――携帯コンロにフライパン……携帯食料……サバイバルって言うのか?これは。」
「ちがうわ!液体火薬って、こんなものまで!…作為的な何かを感じるわ!
……――――!!――――いま、なにか、頭に電撃が走ったわ!」
「なんだよ?電撃って?」
「電撃よ電撃!――――やっぱりあった。弾薬と拳銃!(注:拳銃は銃火器。この場合、パースエイダーを指す)」
「何でそんな物騒なものまで!」
「決まってるじゃない!」
「わかんねーよ!」
「会ったことがあるからわかるの。ニンテンドーDSで!」
「嘘だろ……。」
「そのうちこのバイク、喋り出すんじゃないわよね……遺憾だわ……」








ともかく、ボートがあったので、何とか帰れることになりました――っと思ったのも束の間。オールが無くていっこうに前に進みません。
ボート!動け!ボート!なぜ動かん!?

「オールが無いから進まないぞ?って、おやつに携帯食料を食べるな!」
「食べれる時に食べておくものです、って彼の人は言ったわ。」
「でもそれ、味無いだろ」
「……うん。」
「まぁいい、なんかオールの代わりになるようなもの、ないのか?」
「今ので閃いたわ!携帯コンロと液体火薬で―――――」
「アフロになるからやめてくれ。」
「いいじゃない。まだ帰れるところがあるのなら。」
「それはアムロだ!」
「じゃあどうするのよ?」
「さっきの荷物の中に、フライパンがあっただろ。それ、オールの代わりにならないか?」

あったまいいー!とハイタッチするも、フライパンを使っても、なかなか前に進みません。
おかしいな?穴でも開いている?いや、穴の開いたフライパンなど、この世にはありません。
えいえいと、漕いでも漕いでも進みません。


「ちょっとあんた、ぜんぜん進まないじゃないの!?」
「おっかしいな?そんなはずはないのに。」
「ちょっとまって、ここ、なんかかいてあるよ?え、と、ティファール…」
「ん?あー…これ、ティファールのフライパンか。……あ、そうか!そういうことか!」
「え?なに?」
「このフライパン、テフロン加工だろ?」
「どういうこと?……あ、まさか……」
「「こげないフライパン」」

―――――おあとがよろしいようで――――






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