「なにが激安弁当だ、油もんばっかりじゃねぇか」

朝のNHKニュースを見ながら竜児が顔をしかめる。不況の折、激安弁当が
人気というニュースだが、ふたを開ければなんと言うことは無い。野菜があ
きれるほどない。「ご飯つめました。肉、入れました。野菜有りません、それが
何か?」とでも聞こえてきそうなお粗末な弁当。

あーやだやだ、見ているだけで栄養バランスが崩れそうだ。

「まったく、何でみんな自分で作らないんだよ。そうすれば安くてバランスが
って、大河、聞いてんのか、おい、」

声をかけられた大河は画面に向かって呆けたような面をさらしたまま、口を
開けている。お箸は口のところで止まったまま。

「ん?あ、ひゅうひ」
「お前、口にご飯をいれたら、ちゃんと噛めよ。ていうか、食事がおろそかに
なるならテレビ見せないぞ」
「何よえらそうに。あっ、ほら、竜児、あれ!」

と、大河が指差す画面には、さらに安い超激安弁当。

「ああ、あれ。ひどいよな。あんなの食べてたら…」
「鳥どーん、牛どーん…」
「食べながらよだれ垂らすなっ!」




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