高須家、晩飯後。

「…これかよ…。高けぇ…。」
竜児は一人、近所のコンビニにいた。
どうしても食べたいとせがんできたので、仕方なくカップに入った大きいプリン(\340)を買った。
「仕方ねぇな…。安いのにしとくか」
食後に何か食べたかったのは同じだが、大河が高いものがほしいとかいうから、こっちは\138のゼリーだ。

竜児「ほら大河、お前が食べるっつったやつだぞ」
大河「(〜♪)サンキュ、竜児」
竜児「ほんとにありがたく思うんだったらその代金340円を」
大河「はあ?何言ってくれちゃってるわけ?」
竜児「…」
出た。言い切らないうちに切り返してきた。まあこうなるだろうとは思ったが。

竜児「うちだってぎりぎりまで切り詰めてるんだよ。それくらいわかれ。」
大河「あ〜らよく言うわよ。取っ手が取れる鍋(ティ○ァール)のセット買ってたくせに。」
竜児「うっ…。あ、あれは前から欲しくて貯めてたんだよ!」

そうやって、あーだこーだ言いながら食べているうち、竜児が気づく。
竜児「大河、クリーム付いてる」
大河「え?どこどこ?」
竜児「口の右っ側」
竜児が自分の同じ場所を指差す。そこに人差し指をちょん、と触り「あ、ほんとだ」と大河。
すると、

大河「竜児」
竜児「…?」
そのクリームが付いた部分を突き出すように顔を向ける。
目を瞑ったその大河の表情は、どことなく赤みを帯びているようにも見える。
そして、十秒近くの沈黙が続き。
大河「ん!」
顔を突き出したまま大河がうなった。何かを催促しているみたいだ。
(…ああ、クリームを拭き取れと)
やっと理解した竜児はティッシュを取り、大河に付いた白いクリームを拭き取った。
しかし、大河の思惑とは違ったようで、眉間に皺がよったのがすぐにわかった。

大河「だーっ!これだけ待たせて何してんのよ!この鈍犬野郎!」
大河は有無を言わさず、指でケーキのクリームをたっぷり取り、竜児の口の右にそれをつけた。
竜児「ちょっ、大河おまなにす」
そのとき、そのクリームの付いた部分に暖かく柔らかい何かが触れ、その次にはクリームの感覚が消えた。
ほんの一瞬の出来事。気が付くと、大河は顔を茹蛸のように真っ赤にしてちょこんと座っていた。
大河「こ、こうしてほしかったのに…///」
大河が何をしたのか、竜児に何をして欲しかったのか、ここに来てようやくわかり、竜児も赤面する。

竜児「す、すまねえ。次からそうする。だから、その、お詫びというか」
と言いつつ、今度は竜児が大河に迫り、そして唇を重ねた。

大河「…バカ///」




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