「竜児……あんた、何やってんのよ?」
「んー? これかぁ? これはなぁ、今日は大河の誕生日だから…って
どわぁっ!! た、大河……っ!」
大河は驚愕していた。地味で狭い、いつもの2LDKのふすまを開けると、
幼稚園の飾り付けライクなもので彩られいて、その中心でパタパタと
準備に明け暮れる彼氏の姿を見たからだ。
「お、おま…っ! 時間になるまで来るなって言っただろ!」
「…………ん!」
返事をせず、顎でさした方向に目をやると…
「…ああああぁぁぁっ!」
「カーテン全開なのよ。ウチから丸見え。どっか抜けてんのよねぇアンタって」
「う、うっせぇな!早く完成させようとして気が回らなかったんだよっ」
バツが悪そうに目を伏せて、竜児は自らを恥じる。そんな様子を愛おしく
思った大河は、肩をすくめて優しく微笑んだ。
「……私のために一生懸命な竜児が好きだよ。大好き」
「!…… まっすぐ見つめて言うなんて…反則だ…ぞ」
「照れてる竜児も、かーわいい♪」
「そっ、そーいうお前こそ……かわいい…」
お互いの顔はいつの間にやら熟れたトマトの如く。

視線が絡み、ゆっくりと間が詰められていく。


ギシギシアンアン




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