やっぱり食べたい。
ここは素直にお願いするしかない!!
「ねぇ竜児、どうしてもダメ?」
「う……」
あ、迷ってる迷ってる。
どうしよう、どうしたら食べても良くなるだろう。そうだ、コレしかない!!
「わかった竜児。半分でいいから」
最後の賭けだ。これでダメなら諦めるしかない。
「半分って残りの半分どうすんだよ?」
「それは竜児が食べるの。それで共犯。ねっ、お願い」
両手を合わせ拝み倒すようにねだる。
「共犯ってお前な……うーん、でもタイヤキ半分くらいならいいか」
「ホント?」
珍しい。竜児が買い食いを許してくれるなんて。
「おぅ。半分こだからな?それ以上はダメだぞ?」
「うん、買ってくる」
タイヤキ1個100円の表示を見て、お財布から100円をとりだして購入。100円ならまぁ安いんじゃない?
竜児にそんなこと言ったらきっと怒られるだろうけど。
紙袋に包んではい、とホッカホカのタイヤキを手渡され竜児の元に戻る。
竜児が見てる前でがさごそと紙袋からホクホクのタイヤキを取り出し、頭からぱくりと口に含む。
「あっ!?お前半分こって言ったろうが!!」
竜児はやりやがったな、とばかりにただでさえ鋭い目をつり上がらせた。
慌てるんじゃないわよ馬鹿犬。
「ふぁい」
そう言ってタイヤキを咥えたまま尻尾の方を竜児に向ける。
「は?」
「んーんーんーっ」
ついでに目も閉じてみたりなんかして。
「お前まさか……」
「ん」
ようやく伝わったようだ。これなら半分でもきっと我慢できる。
「いや、しかしこんなところで……」
「ん〜!?」
いいからさっさとしてよ!!もう口の中あんこ食べちゃいたいんだから!!
「わ、わかった。特別にそれはお前一人で食べていい」
竜児は照れたようにそっぽを向く。
やった♪作戦勝ち♪
とか思ってたら、
「いや、やっぱり食おう」
「ふぇ?」
あむ……むにゅむにゅ……ちゅう……!!!!!
目を見開く。あれ?だって竜児は……?あれ……?でも、いいの?
あ、口の半分タイヤキが持っていかれた……でもいいや……え?何?舌が入って……ん……あん……。

竜児大胆END




作品一覧ページに戻る   TOPにもどる
inserted by FC2 system