【みんなを信じたいからこそ】
亜美「ねぇねぇ、もし宝くじでさぁ、三億円当たったらどうする?」
北村「実際には税金やらなんやらで引かれるし、総額三億円ってのが妥当であって、手元に三億円は来ないぞ」
亜美「祐作、早速現実に連れ戻すな。興醒めだわ」
実乃梨「そうさねぇ〜、私はオーパーツなんかを買ってみたいねぇ。割と本気に」
大河「みのりんらしいなぁ、私は美味い物を喰う!」
亜美「最近、あんたその喰い意地に関して開き直ってきてるわね……。祐作は?」
北村「そうだなぁ……、うん、世界の国を見て周りたい」
春田「おっ、いいねぇ、いいねぇ! 俺っちはねぇ、雑誌の裏表紙とかであるようにバスタブにこう、お金を満タンに入れてさぁ、
可愛い女の子を両脇に抱えてみたいなぁ〜、なぁ〜んて!」
能登「春田らしいっちゃあ春田らしいが、なんちゅう妄想だ。俺だったら……、お菓子の家を造る、とか」
北村「メルヘンだな。……だが、面白い」
能登「だろ? やっぱ子供のころ憧れるじゃん、こういうのって。それを現実にしてみたいかも」
大河「それを喰ってやっても良いわよ?」
亜美「人の夢を貪るんじゃねぇーっつーの。私わねぇ、やっぱジュエリー関係かなぁ。後、おっきい豪邸も。それと―――」
実乃梨「それはまた現実味溢れる夢だねぇ……」
大河「夢は叶うけど、希望がないとは……。とんだパンドラの箱だこと」
亜美「うっさいわねぇ」
竜児「おうっ、なんだ、みんなして。えらく盛り上がってたな」
実乃梨「お〜、これはこれは高須殿、良いところに」
北村「いやな、みんなで宝くじで三億円当たったらどうする?って話をしてたところだ」
春田「高っちゃんなら、どうするぅ〜?」
大河「決まってんでしょ、コイツのことだからどうせ貯金よ、ちょ・き・ん」
能登「ははっ、確かに」
竜児「いや、まず俺は宝くじなんて絶対買わない」
亜美「もしもの話だっつーの」
竜児「それでもだ。ほら、テレビとかで聞くだろ、宝くじで幾らか当たったせいで人間関係が壊れるって。
金を得ることで今まで信頼していた人達と罵り合ったり、家族なのに金のことで揉めだしたり、最悪、金を手にした張本人の性格が変わったりするかもしれない。
それが嫌なんだよ、絶対に。お前らならそんなことないって信頼してるし、俺も何も変わらないって自信はある。
でも絶対とは言い切れない。未来なんて誰にも見えないからな。だから、俺は買わない。当たらなくて良い。大金なんか欲しくない。
こうやってお前らと話して、遊んで、馬鹿やってる方が俺は幸せだ。三億円程度じゃ釣り合わん。
なんたって、こんな目付きの悪い奴と付き合ってくれる仲間との日常だからな……って、何でお前ら土下座してんだよ!!??」
六人「「「「「「薄汚れてる自分達をお許し下さい」」」」」」
竜児「いやいやいや、これは俺の勝手な考えであって、別に何が欲しいとか、何を買うとか想像するのは自由だろ! 止めろって、おい! 額を床に押し付けるな!」
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