「わたしとやっちゃん」
竜児「本当にいいのか?」
大河「今日はいいの。留守番してる。」
家出をしたバレンタインデーから、2ヶ月ほどたち、
久しぶりに竜児の家にきた日のことだった。
泰子「大河ちゃーん。いっといでよぉ。」
大河「いいの。竜児、お買い物お願いね。」
竜児「お、おぅ、じゃあすぐ帰ってくる。」
ガチャ
どうしても、やっちゃんに言わなければならなかった。
正座をして、・・・
泰子「ほんとによかったのぉ?、ひさしぶりだったでしょぉ?」
大河「いいの。
それより、やっちゃん、本当にごめんなさい。」
頭をつけてあやまった。
泰子「・・・・・」
「ほぇぇぇ?????
なんでぇ???
なにがぁ???」
インコちゃん「な、な、な、な・に・があ・あ・あ・った」
大河「あ、あのね。
バレンタインデーの日、竜児の手を引っ張って、
そ、その、逃げてしまったこと。
ごめんなさい。」
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竜児がいたら、おまえがあやまることねぇよ。っていっただろう。
だから、やっちゃんと二人(+一匹だが)の場所であやまりたかった。
泰子「あれー?」
やっちゃんの手が私の頭をもちあげ、大きな胸につつみこむ。
泰子「あやまることないよぉ。
やっちゃんがお礼を言わなきゃいけないぐらいだよ。」
大河「え?」
泰子「あのとき、りゅうちゃんは、本当におこっていた。
わかるよ。家のこと、進学のこと、大河ちゃんのこと
いっぱいおこったんだとおもう。
あの時、大河ちゃんが手を引っ張って逃げ出してくれなかったら、
どうなっていただろう。やっちゃん、こわれてたかなぁーって思うんだぁ。」
やっちゃんが私をきつくだきしめる。
泰子「って、りゅうちゃんも言ってた。」
「だから、感謝しているよ、大河ちゃんに。ありがとう。」
竜児が?、そんなこと聞いてなかった。
たしかに、あの時、このままでは竜児もやっちゃんも傷ついてしまうと
おもったかもしれない。
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やっちゃんは、小さい子を諭すように話をつづける。
泰子「はじめて、大河ちゃんにあったとき、この子が
りゅうちゃんのお嫁さんになるんだーぁって思ってたよ。」
大河「な、な、なんで? あの時は・・・・・」
泰子「知ってるよ。北村くんが好きだったんでしょぉ?
ぜぇーんぶ、知ってるよ。りゅうちゃんが他の子をすきなことも。
でも、りゅうちゃんのお嫁さんは大河ちゃんだとおもったよぉ。」
しってたんだ。
やっちゃんの胸が苦しい。少し暴れる。
大河「く、くるしい・・・」
やっちゃんは、ごめんごめんと言いながら、少し力を弱めてくれた。
泰子「りゅうちゃんは、やさしいけどぉ、自分で決められないでしょぉ?」
インコちゃん「そ、う、めめ、し、い」
そう思う。竜児は、私のことを心配してくれて、いろいろしてくれるのに、
自分のこととなると、全然決められていない。わたしもそうだけど。
そうだね。っと笑いながら返した。
泰子「りゅうちゃんが、自分から女の子にご飯をつくってあげて、
おうちにつれてきてくれたとき、やっちゃんうれしかったぁ
大河ちゃんが、くるようになってから、りゅうちゃん、
ちょっと明るくなったかなぁ。」
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そうだったんだ。
もっと二人が、早くお互いの気持ちにきづいていれば・・・・
うぅうん、この1年があったから。今みんな幸せ。
泰子「それに、大河ちゃんは、いつも、りゅうちゃんのこと、
みていてくたでしょ。
ずーと、みていてくれた。」
そう、ずーとみていた。
たぶん、はじめから。
気づいたら、自分の中は竜児一色になっていて、笑って、泣いて、
そして今ここにいるんだ。
泰子「りゅうちゃんは、ちょっと背中を押してあげれば、
すぅーごく頑張れる。
だから、大河ちゃん、これからもよろしくね。」
うん。
素直にこたえられた。
誰かに期待されるってきもちがいい。
泰子「そんな、大河ちゃんに、うっすーい超能力をあげよう。
もう、やっちゃんには必要ないからねぇ。
相手の心が離れそうになったときに、つよく念じるんだよ。
3回だけつかえるから、大事につかうんだよぉ」
ありがとう、だいじにつかうよ。
といったとき、
ガチャ
竜児「ただいまーぁ。今日は黒豚が安くてさぁ、とんかつ・・・
って、何でだきあってんだ?」
そうだ、抱き合ったままだった。
大河「竜児。わたしも手伝う。ママにちょっとは教えてもらったんだからね。」
竜児「そ、そうかぁ、そいつは楽しみだな。」
泰子「ふふふ」
やっぱり、みんな幸せがいいとおもう。
だから、私も頑張ろうと思う。
おわり
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