「ねえ竜児」
「ん?」
「大好き」
そう言って見上げる顔。
あなたの照れた顔が大好き。

『大好き』

「なななに言ってんだお前、いきなり!?」
慌てながら、私を見返すあんた。
ああ。なんて素敵。
一歩踏み込む。
「えへへ、竜児顔真っ赤」
笑いながらみつめる顔は、怒ったような仏頂面。
でもわかってる。
「照れてんね」
「うるせえ」
否定しないのは正解の証。
ああまったくあんたったら。
「ちょ!おまっ!!」
いきなり抱きついた右手。
いいでしょ?
もう我慢できないんだもん。
「いいじゃん誰も見てないし」
そういいじゃん。
あんたが照れるくらい。
「えへへ」
思わず零れる笑い。
ああ、なんて幸せ。




抱きついた腕を、より強く抱き寄せる。
為すがままのあんたが少し可哀想かも。
「竜児?」
「・・・なんだよ?」
「・・・」
「大河?」
ちょっと間を置いただけ。
それだけで心配そうに見下ろしてくるあんた
ばーか。

『ちゅ』

だから、思いっきり背伸びしてやった。
「な!おまっ!?」
思わず口に手をやるあんた。
ダメよ、右手は離してやんない。
「にへへ。してやったり」
得意気に微笑む。
恥ずかしいんだよね?
顔を逸らして隠したつもりかもしれないけど、耳まで真っ赤っ赤。
「バレバレだよ竜児」
「・・・うるせえ」
言いながらいじる前髪。
ああ、なんて可愛い。
そんなとき。
押さえ様も無い笑顔を向ける私に、あんたが小さく呟いた。
真っ赤な顔で。
「・・・なあ大河」
「なに?」
「・・・もっかい・・・していいか?」
「!!」
なんて不意打ち。
迎撃無理の核爆弾。
そうして私も真っ赤になった。
ばかばかばか。
でも・・・。
「・・・うん」
小さく頷いて、掴まる手をぎゅっとした。
ああ・・・もう、大好き。

そんなある日の帰り道。





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