「ねぇばかちー。ばかちーのお母さんのドラマって『勝ち犬女検視官』だっけ、『負け犬検視官』だっけ」
「はぁ?なんで亜美ちゃんのママが負け犬なのよ。勝ち犬に決まってるじゃん。ばっかじゃねーの?コ・ロ・スよ」
「でもさ、4巻の74ページには負け犬って書いてるよ。見て?」
「ちょ………ま・じ・か・よ。なにやってんだよゆゆこ。てか編集担当ちゃんと校正しろよ。てか死ねよ。てか15刷?
超、むかつくんですけど?マジ、むかつくんですけど?亜美ちゃんのママが負け犬のまま刷りまくってんじゃねーよ。
手前ら左うちわで亜美ちゃんのママ負け犬かよ。あー頭来る、やってられねーっつーの!」
「まぁまぁばかちー、おちついて、私のヨーグルトあげるから」
「いらねーよ。てか飲みかけかよっ!」
「ばかちー、あんまりゆゆこに怒っちゃだめだよ。ゆゆこは神様だから、あんまりわるちーだとバチが当たるよ」
「へっ、バチなら心配ねーっつーの。ゆゆこは亜美ちゃんのこと冷たく扱いすぎて後悔してっから。とらドラ・ポータブル!
作るときに『亜美ちゃんを幸せにしてあげて』って言ってるくらいだから。いやーん、亜美ちゃんかわいすぎて神からも
愛されるなんて。てか罪深すぎ?」
「あんまり調子にのならないほうがいいと思うな。だって、ゆゆこは大神だから、こんな世界の隅っこまで見てないと思うし」
「けっ、こんなにきれいな亜美ちゃんを見捨てられる神なんかいらねーよ」
「でも、ここじゃ本当にゆゆこ神様はばかちーのこと見てくれないのよ」
「ちょっとタイガー、あんた喧嘩売ってんの?亜美ちゃんの美貌に文句あるの?てか、なにさま?世界の何をしってるってーの?
セカイ系?宗教?キモイんですけど、間に合ってるんですけど。勧誘しないでほしいんですけど」
「はー。仕方ないな。ばかちーには恩があるから教えてあげるわ。ここではばかちーはおとなしくしたほうがいいの。
だってここは、私と竜児のための世界だから」
「はぁ?あんたとうとう頭までおかしくなったの?あんたたちの世界?けっ、そりゃあんたたちの頭の中でしょ」
「そうじゃなくて、ここは本当に私たち二人のための世界なの。私と竜児だけの蜜流れる約束の地。
『【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7 』スレなの」
「…なによそれ」
「ここでは唯一の物理法則が私と竜児の愛なの。それ以外の物理法則は何もないの」
「…あんた、とうとう薬まで。この前はおふざけでやったけど、ほんとに警察呼ぶわよ」
「しかたないな。じゃ、見せてあげる。竜児〜!」
「おい大河、お弁当持ってきてやったぞ」
「…高須君…、あんた今どこから来た?」
「おう、川嶋。どうした?鳩が豆鉄砲食らったような顔してるぞ」
「…いや、あんた…だって…今…」
「お弁当、ありがとう。竜児」
「おう」
「……ちょっと。何?まじこれ?わけわかんない。なんで出口無いのこの教室!」
「心配しないで、ばかちー。眼鏡の再構成ネタの心配はないわ。スレチだから」
「わけわかんないわよ!」
「本当にごめんね、混乱させる気は無かったの。ただ、ここが私と竜児の『約束の地』だってことを教えてあげたかっただけ」
「…もうやめて」
「ね、竜児。いつもお弁当作ってくれてありがとう」
「なに今更いってんだ。このくらい何ともないぜ」
「ありがとう。竜児のお弁当、本当においしいよ」
「おう、お前がそう思ってくれるなら作りがいがあるぜ」
「高須君!タイガー!何やってんのよ!」
「竜児。好きよ」
「大河、俺もお前が好きだ」
「ちょ!てか、それ『約束の地』、関係ねーし!」




ギシギシアンアン




「『お約束』だっつーの!!亜美ちゃんやってらんねー!」



ギシギシアンアン





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