ある朝、竜児は髪を金色に染めて現われた。

「・・・なに竜児、その頭・・・?」
「言うな大河。俺はもう真面目に生きるのをやめたんだ」
「はあ?」
「いつまでもヤンキーヤンキー周りの奴等は言いやがるし、もううんざりだ!だからもう、そいつ等が望むように本物のヤンキーになってやるんだ!」
「・・・はぁ」
「クックック・・・これからは遅刻もするし早退もしてやる。早弁だってしてやるぜ!」
「・・・(こいつの中の不良像って・・・)」
「だから大河も俺の傍にいたら・・っと、ちょっと待ってろ」
「?」
「・・・よし。いや空き缶が落ちてたんでな。片付けてきた」
「・・・うん」
「で、だ。お前も俺の傍にいたら一緒に・・・あ、ヤベ!」
「?」
「っとあぶねーあぶねー。コーラお前等。ここは車通りが多いからボール遊びしちゃダメだろ?ほら泣くな。怪我しなかったんだから良かったじゃねーか。な?
よーしよしいい子だ。じゃこれからは気をつけるんだぞ?おう!じゃあな!・・・っと。いやー今のは危険だった。飛び出すのが一歩遅れてたら事だったぜ」
「・・・うん」
「で、なんだっけ?あーそうそう。一緒にいたらお前も変な目で見られる・・・あ、お婆さん。手荷物重そうですね、信号渡るまで持
ちますよ?いえいえ、遠慮なさらず。そんな普通ですよ。お礼なんていりません。あ、大河ちょっと待ってろな?」
「・・・うん」
「え?あ、ええ、ま、まあ彼女・・・なんですけどね。え!?そ、そんないい彼氏とか照れるのでやめて下さい・・・。はい。じゃお気をつけて。はいありがとうございます」
「・・・」
「いやー・・・可愛らしい彼女ね、なんていわれちまった。いい人だなーあのお婆さん」
「・・・うん」
「うーん。朝から気分いいな。あーそれでな大河・・・」
「竜児」
「ん?」
「あ、明日さ、グスッ、か、髪・・・染め直しにグスッ・・・いこ?」
「な、なんだよ大河!?泣くほど俺が不良になったのが悲しかったのか?わ、悪かった!よ、よし明日行こうな!な!?」
「(不憫すぎて泣けてきたのよ・・・)」

竜児高校デビュー失敗w




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