『では全国のお父さん、お仕事頑張って下さいねー♪』ジャラーン
「………ははっ」
「………お父さん、だって。そんなのいないっつの」
「一応はいるぞ?一応は、な」
「あんなの親父でもなんでもないよ。あんたのはお日様のささない場所でお勤め中だっけ」
「それか、天国…もとい地獄だな」
「…ねぇ。会いたい、って思う?お父さんに」
「…会いたくないって言えば嘘になるな。一度その面に一発拳を見舞いたいもんだ」
「多分あんた腰抜けて動けないよ。まぁそうね、私が代わりにぶつって手もあるかな」
「おう…それは頼もしい限りだな。俺の目の元凶であるヤツをたたんでやってくれ」
「あんたってつくづく呆れ果てたやつね。そこは男らしく『大河に危ない目にあわせるわけにはいかねぇ!
 俺がギャフンと言わせてみせるっ!』とかじゃないの?」
「もちろんそれもあるが。まぁいまさらノコノコ出てきても話すことなんでコレっぽちもねぇよ」
「…うそ。あんたはきっと話をしてみたいって思ってるはずよ。たまに父親の話してくるじゃん、一緒にいるんだからわかるわよ」
「心のどこかではそう思ってるかもな。多分街でぶつかったら財布渡して逃げるだろうが。んで当然ボコられる、と」
「ぶつかったのが私でよかったね。でも、私は少しあんたの親父に感謝してるわよ」
「…なぜだ?」
「あんたはみのりんの笑顔に憧れてた。そうでしょ?もちろん好意もあったと思う。だけどね、あんたの顔が
 ノーマルだったら、みのりんへの気持ちも少なからず今とは違ってたと思う。
 あんたのお父さんと会ってなかったら、やっちゃんはもっと普通の人と結婚してたかもしれないのよ。
 そしたらもちろん、この街にはこなかった。来てたとしても、あんたはまだ小学生かそこらよ」
「確かに…。もしかしたら友人もたくさんできてたり、他の高校に通ってたかもしれねぇな。そう考えると感謝すべきか?」
「まっ、今はこうしてあんたとこうやっていられる。それはあんたの目つきも少なからず関係してると思うの」
「ものは考えようだな。三白眼は俺も好きじゃないが、こうなったのはしょうがねぇ。それでも一生懸命生んでくれた
 泰子には感謝しねぇと。それに、この狂眼のおかげでお前ともこうして出会えたわけだ」
「そうね。でも私はあんたの目、嫌いじゃないわ、ううん、むしろ好き。ちょっと睨んでみて?」
「…こうか?」ギラギラギラッッ!!
「うひ!TAMARAN!」ゾクゾクッ
「…お前最近変な方向に進んでないか」





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