毎朝毎晩いじってるに決まっています。日課です。





ギシギシアンアン

「ふぅ……良かったわよ、竜児」
「……おう。俺もだ。大河。」

ある金曜日の晩、二人は儀式を終えたあと、いつもなら恥ずかしくて言えないようなことを囁き合う。ピロートークなんて知らねえよ、と思ったそこの君、近いうちに飲みに行こう。

「ねえ竜児」
――どうした大河?
「竜児は私のどこが一番好き?」
――なんだよ、そんなの全部に決まって……
「そういうのも嬉しいけど……ね、どこどこ??」

そこで竜児は言葉に詰まる。どこ……そんなもん全部だ!というのが竜児の本音だ。でも今日の大河はそういう答えを望んじゃいないらしい。さて、どうしたものか……

――そうだな……強いて言うなら……髪、かな?
「髪かぁ〜なんでなんで?」
――何て言うか……ふわふわしてて、綺麗で、長くて、良い匂いで……
「ちょっとタンマ!……いきなりマシンガンみたいに褒めないでよ……死んじゃう」
――ん?嫌だったか?
「……イジワル」

これも本音だ。以前にも竜児は大河の体の末端まで褒め尽くしたことがある。(まとめサイト参照。私の書いたものでは無いのだが大好きな作品だ。無断引用申し訳ない。)彼女が再び愛の機銃掃射を望むというならそれに応えよう、というものだ。




そこで竜児はあることに気付く。

――お前、髪ボサボサじゃねぇか
「あらホント。遺憾だわ。……こんなにしたのは誰かしらぁ?」

この顔。小悪魔とは良く言った者だと見る度に思う。
舐めるように見上げてくる瞳、うっすらとした唇は僅かに右端が吊り上がる。この美しい顔が織り成す攻撃的な、それでいて優しいなんとも言えないこの顔が竜児は好きなのだ。

――その顔も好きだぞ
「!!……今日の竜児には勝てる気がしない」
――何の勝負だよ。そうだ、髪、梳いてやるよ。そのままじゃ折角の御髪が傷んじまう
「みぐしって……アンタいつの時代の人?まぁそうね……お願いしていい?」

大河の顔は緩みきっている。竜児に褒められたことが嬉しくて、竜児に触ってもらえることが嬉しくて……きっと幸せの海に大河は浮かんでいるのだ。その幸せを俺が与えてやれているなら、なんて幸せだろう。本心からそう思う。

――もちろんだ。じゃあ服着てそこに座れ。あ、なんか飲むか?
「んー……はちみつきんかんが良い!」
――おいおい。歯磨きしただろー?
「良いのよ。また磨けば。ね、そういや今日みのりんがさぁ……」


明日は土曜日。少しくらい夜更かししても、良いのだ。





作品一覧ページに戻る   TOPにもどる
inserted by FC2 system