「原作の10巻を読むとな、川嶋は『困っている友達を見たら手をさしのべずにはいられない』性格って事になってるんだよ」
「何よ、あんたいきなり。それよりお腹すいたんだけど」
「じっさい、4巻でお前に向けた視線がそうだしな。あと、あいつ、みんなを喜ばすアイデアを考えるのが上手いって思われてるけど、5巻のプロレス脚本初読みシーンは、むしろ困ってる春田を助けたと考えた方がしっくり来るんだよな」
「ねぇ、竜児ぃ。チャーハン作ってよ」
「ところが9巻で俺とお前がくっついちゃったんで、あいつすごく孤独感じてるんだよな。10巻の河川敷のシーンでさ、俺とお前にコート貸して、一人で『そっちは二人だし』ってごちるシーンがある。
で、このエピソードの終わりで北村のコートを櫛枝と二人で羽織って涙ぐむシーンにつながるんだけど、いいよなぁ」
「エビチャーハンがいいなぁ」
「そうなると、あんないい奴なのに横に居てやる彼氏が居ないってのは可哀想だ」
「ばかちーは自分で何とかできるって。それよりエビチャーハン食べたい」
「いやいや、あいつ結構寂しがりだぞ。で、俺にアイデアがあるんだ。」
「なーに?私バター味より醤油味のほうが好きよ」
「春田がお似合いだと思うんだ」
「……ロン毛虫味のチャーハン………………やだ」
「食うなよ。川嶋と春田がお似合いだって話だよ」
「え。だって、アホ毛虫って大学生の彼女いたじゃない」
「そうだよなぁ。春田には居るんだよなぁ。しかし長続きしない気がするんだよ。スピンアウト読む限りでは」
「ふーん。そう。どうでもいいけど」
「春田のいいところは友達思いだって事だ。困ってる奴を見ると助けたいって思う。しかも先に体が動く。損得勘定もてらいもない。あれは本当にいいやつだぞ」
「そんなかっこよかったっけ」
「かっこいいっていうか…たとえば北村がみんなの前に兄貴に振られたとき、あいつステージで泣いてた北村の所にいってやってるんだよ」
「そうだっけ」
「お前もショック受けてたから覚えてないか。北村ホイホイ作戦の時、真っ先に乗って一芝居うってくれたのもあいつだぞ。あと、俺とお前のエスケープを助けてくれたのも春田だしな」
「そういえばそうねぇ」
「だからさ、春田って川嶋みたいな寂しがりやと結構合うと思うんだよ」
「竜児、それ短絡過ぎない?やっぱりばかちーと馬鹿毛虫って想像つかないよ」
「いいと思うんだけどなぁ。春田はねちねちしつこくないから、川嶋のわがままだってさらっと流せるぞ」
「はいはいわかったわかった。二人はお似合い。ねぇ、お昼つくってよ」
「よし、じゃエビチャーハン作るか。醤油味だったな」
「うん!」





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