・歩道にて

「ねぇ竜児、あんた何なの? やっぱ犬なの?」
「なんだよいきなり」
「さっきからちょいちょい私の右行ったり左行ったり。落ち着きないったら。うざいんだけど」
「ああ……昔、泰子にな、教えてもらったんだよ。男は車道側歩くもんだって。
 車から少しでも女の子を守れるようにって」
「……」
「ちょ、おまえ、何だよ!? 人の話聞いてなかったのか? なんでそっち歩くんだよ!」
「聞いてた。うっさい。どこ歩こうと私の勝手でしょ。この駄犬……」





・告白の……2

「なんだよ」
「なによ」
「いいじゃねえか。練習につきあってやるってんだからさ。
 俺にばっか恥ずかしい思いさせて、ずるいんだよおまえは。逃げんなよ」
「あーはいはい。わかったわよやればいいんでしょやれば。北村君好きでーす。はい終わり」
「おまえね……あらゆる意味で失礼かつ雑だぞそれは……」
「なによ」
「それにおまえ、俺に告白するんだろ?」
「えっ! ……あんたに!?」
「そうだよ。俺の練習の時はおまえに告白するようにさせたんだから、そうなるだろ?」
「えっ……そう……だけど……」
「目の前にいる相手に告白する練習なんだろ? さあ来い!」
「あんたに、告白……っ」
「おう、なんだおまえ唾なんか飲んで……なるほどそうか、そっから入るのか! いいぞ、次は?」
「……」
「おう、手で胸を押さえるのか。いい、すごくいいぞ。ナイス演出。
 参考にしてえくらいだ。って俺は男だから無理か。それで?」
「りゅ、竜児……」
「なるほどどもるのか。いいぞ大河、すごく伝わるもんがある。すごいじゃないか。それで……」
「竜児……私」
「……真っ赤になって、な、涙ぐむ、のか……?」
「私……りゅうじ……っ」
「おう……す、すごいぞ、大河。それなら、どんな奴だって、イチコロだ。どんな男だって……」
「私……竜児……あ、あんたの、あんたの、ね?」
「どんな男……お、俺? 俺、だって……?」
「私……あんたの……りゅ、竜児っ!」 
「た、大河……っ」
「私……あ、あんたの……あんたのっ……あんたのっ!バカっっっ!!」
「いでえ――――――っっっ!? ……っなんで突き飛ばすんだよバカっ!?」





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