TELLLL TELLLL
ガチャ
「はい、もしもし。逢坂ですが」
「あっ、オレだよオレ」
「はぁ?誰よあんた?」
「判んねぇの?オレだよオレ。オレだって」
「……もしかして、竜児?」
「そうだよ、竜児だよ竜児」
「で、何の用?」
「あのさぁ、実はさぁ、酔っ払いにバイクで撥ねられちまってよぉ」
「!!ちょっ、あんた!大丈夫なの!もしかして、入院してたりするの!?」
「あー、ぶっちゃけそうなんだわ。ま、命は何ともねーらしいがな、骨折れちま
っててさ、その治療費だとか入院費だとか払わなくちゃいけねーんだわ」
「う、うん!」
「でもさ、金が無くて困ってんだよ。このままじゃちゃんとした手術も受けれね
ーから、ちょっち今から言う口座に金振り込んでくんね?」
「わ、判ったわ!任せなさい!」
「悪いね。じゃぁ、言うぞ。●●●ってとこに20万ぽっちだ。頼んだぜ!」
「●●●ね。直ぐ振り込むから待ってなさい!」
ガチャン
(急がなきゃ!)
ダダダダダ、ドンッ
「キャッ!」
「いって!ど、どうしたんだ大河?随分とお急ぎっぽいが…」
「あっ!竜児!聞いて、大変なの!」
「お、おぅ」
「今さっき竜児から電話が在って、撥ねられたけど金が無いから入院出来ないっ
て言われたの!」
「……は?」
「だから、20万振り込まないといけないの!」
「あー、まぁ、そのなんだ。取り敢えず落ち着けよ」
ギュッ
「ふぇ??」
「高須竜児はお前の前に居るのが本人様だ。撥ねられていなければ、怪我だって
一つもねぇ」
「え……嘘…。じゃぁ、あの電話は?」
「詐欺なんじゃないか?」
「それじゃぁ、あんたは何事もないの?」
「あぁ!」
じわ…
「りゅうじぃぃい!良かった!ホントに良かったよぉ!」
「よしよし」
「撥ねられたって聞いて、もう駄目かと!」
「うんうん」
「あ、あんたがいなくなるのがどうしようもなく嫌で、嫌で!」
「心配だったと」
コクコク
「家族だもんな」
「えっ、家族?……うん、そう、だよね。家族だから…だよね?」
「なんで疑問系なんだよ。ほら、ばたばたしたから腹減ったろ?飯食おうぜ」
「…うん」
(家族だからだよね。他になにかあったりなんかしないよね、きっと……)






大河「いま電話があって竜児がバイクで事故を起こして警察に捕まったって。
しかも相手が妊婦で流産までさせちゃったって!
示談にするから金振り込めっていうし、電話の向こうで竜児は泣いてるし、
いったい私どうしたらいいのよ!」
竜児「とりあえずメシ食って落ち着け」
大河「そ、そうね。あ、ソース取って。」
竜児「ほらよ」
大河「ん、ありがと」







竜児「もしもし?」
??「もしもし!? 私よ私!!」
竜児「…誰だ、大河?」
大河?「そう、私 大河! 実はさ、車で人を轢いちゃって!!」
竜児「……まじかよ」
大河?「本当なの。助けて!!」
竜児「……お前、何やってんだよ!!」
大河?「本当ごめん ね?今から、相手先の人の口座の番号言うからお金を振り……」
竜児「お前、免許もってねえだろ」
大河?「え゛?」
竜児「しかも、誰の車乗ってんだよ 家には自転車もねえぞ」
大河?「え゛え゛?」
竜児「……今切るなら通報はせずに済ませてやるが?」
大河?「ガチャン、ツー…ツー…ツー…」


竜児「……まったく」

大河「ただいま〜」
竜児「おう、おかえり」
大河「受話器持ってどうしたの? 電話?」
竜児「ああ、間違い電話だ」
大河「そっか。お腹減った。ご飯にしよう?」
竜児「おう」

竜児(例え音が聞こえなくとも、こいつの声を俺が聞き間違えるはずねえだろうに)

インコちゃん「マチ……マチ…マチガエナイ!」






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