「そういえばね、ひとつ発見したことがあるの」
「なあに?」
「ほら、やりたくないことやってる時間ってすごく退屈で長く感じるじゃない。古典の授業とか」
「そうだね。心の中ではもう休み時間が待ち遠しいのにまだ半分も終わってないと退屈極まりないよね」
「そうそう。で、逆に楽しい時間ってすぐに過ぎちゃうじゃない」
「お昼休み終わって高須くんが教室に戻るときなんかすごく名残惜しそうだもんね、タイガー」
「べ、別に名残惜しくないわよ!…まあ、お昼休みあと30分延長してもいいかなぁって思うけどさ」
「たぶん12時間あっても足りないんじゃないかなぁ」
「まあそれはしょうがないのよ。で、本題だけど」
「うん。何を発見したの?」
「あのね、竜児と一緒に勉強してるとすごくはかどるの。ほら、受験勉強なんて退屈じゃない。
私は集中力ある方だけど、それでもだんだん飽きてくるのよ」
「あるある」
「けど竜児と一緒だと全然退屈しないのよ」
「おしゃべりとかしてるからじゃないの?」
「ううん、お互いあんまりしゃべらないの。でも気付いたら4時間くらい経っててノートもちゃんと埋まってたりするのよ」
「すごいじゃん。私にも高須くん貸して欲しいかも」
「だめ。竜児は私んだから」
「そうでしたそうでした」
「だからさ、退屈な時間でも竜児がいると長く感じなくなるって話」
「けどそれじゃ高須くんといる時間が短く感じちゃうんじゃないの?」
「んー、そうでもないわよ。勉強してるとそれなりに長くは感じるから。その分竜児と長く一緒にいてやれるし」
「あら?一緒にいて欲しいのは高須くんの方なの?」
「当然よ。この大河さまとどうしても一緒にいたいっていうから勉強付き合ってあげてるのよ。
私もせっかくの休みを退屈な気分のまま過ごしたくなんかないし」
「優しいんだね、タイガー」
「そうよ!優しいのよ私は!でなきゃあんな顔面最終兵器と付き合ったりしないんだから!」
「だーれが最終兵器彼氏だって?」
「ひゃ!?りゅ、竜児!!?いつからそこに!?」
「香椎が俺を貸してくれとか言うあたりからだ」
「あら高須くん、もう課外終わったの?」
「おう、すっ飛んできたぜ」
「もう!誰が立ち聞きしていいなんて言ったのよ!」
「すまんすまん。なんか女王さま気分なお前を見てると可愛くてよう、つい声をかけそびれたんだ」
「か、か、か、か、か、か、か」
「あらあら、またレッドタイガーになっちゃって♪」
「ほら、帰るぞ。香椎もありがとうな」
「どういたしまして。ほらタイガー、高須くんもう帰るって言ってるよ」
「…かわいいって…へへ…竜児が私のこと…へへ♪」
「やれやれ、いつもこうだ」
「ふふ、高須くんて本当、天然なんだから」
「おいおい勘弁してくれ」
「ほらほら、タイガーを早くこっちの世界に戻さなきゃ幻想入りしちゃうよ」
「さすがにそれはない。俺がいる限り博麗大結界は超えさせねえ」
「私たちだっているからね。それじゃお先に」
「おう、じゃあな。ほら大河、俺たちも行くぞ」
「ふぇ?はっ!なんだか桃源郷にいた気がするわ!」
「やっと戻ってきたか。さあ帰るぞ大河。弟が待ってる」
「うん♪」
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