「ねぇ竜児。雨の色って何色だと思う?」
この天気で洗濯物はいつまで経って半乾き、乾燥機がない我が家ではアイロンで仕上げるしかない。
背中合わせでユラユラとアイロンの動きに合わせて揺れていた子虎が、夢見る少女みたいなことを言い始めた。
「う〜ん、そうだな…」
ここは現実的に答えるべきか、それとも幻想的に答えるべきか…
「やっぱり、雨ってのはその人の今によって感じ方は違うんじゃないか」
「例えば?」
「そうだな… 俺は一人っ子だから雨が降ると外で友達と遊べなかったから、子供の頃は灰色ってイメージだったな」
「わたしも。私も一人だったから雨は暗い色だった」
「でも、今は大河が居るからそんな事ないけどな」
「うん、そうだね。雨の色も昔みたいに暗いイメージじゃない」
ウゥッ… シクシク ヒッ シクシク…
「何だ?」
バン!
「ゴベンネ りゅうぢゃん」ウァァ〜ン
「やっちゃん!」
「ごめんね〜 やっちゃんがお父さんに置いてかれたから、竜ちゃんは一人ぼっちで」
「そんな事は気にしてないから!」
「えぇ〜 だって家族が二人きりで寂しかったでしょ?」
「そんな事は無かったから、それに今は大河も居るし」
「そうよ!寂しくなんかないよ、やっちゃん!」
「私が竜児と結婚して子供をポンポン産むから、これからは家族はドンドン増えるから!」
「……バトミントが出来るくらいに?」
「オイ!!そこは普通、野球とかに例えるだろ!」
「えぇ〜そんなに産んでくれるの!大河ちゃん?」
「いや、さすがに野球はちょっと…」
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