「おーい高須ー」

「ん?なんだ?」

「ちょっと、頼みたいことがあるんだけど…」



「い・や・!」

「そこをなんとか、頼む」

「やだ!なんで私が絵のモデルなんかしなくちゃいけないわけ!?」

「いや…その…」

「何よ!はっきり言いなさい!」

「ほら、お前綺麗じゃん。だからどうしてもってお願いされたんだよ」

「ふぇ…私、きれい…ってだめーっ!!」

「…なんでそんなに嫌がるんだよ」

「だって!だって!竜児にだって見せたことないのに!!」

「何をだよ…?」

「わわわ私の裸体よ!!」

「………………………………ゑ?」

「ヌヌヌヌードモデルなんでしょ!?そうに決まってる!このエロス!」

「誰がギリシア神話の愛の神だよ…ってお前思いっきり勘違いしてるぞ」

「ゑ?」

「いくらなんでもヌードモデルなんかしたらこの御時世、犯罪だぞ
 それに…もしヌードやるなんて言ったら絶対許可しねえ
 …大河の裸、みんなには見せたくねえし…」

「竜児…」

「………………」

「やっぱあんた、エロの権化ね!」

「なにぃ!?なんでそうなんだよ!」

「そうじゃない。私がCカップになったからって裸を独り占めしたいなんて…どうしようもないわね!」

「お前なあ…」

「ふん!で、でも別にいいわよ!りゅ、竜児にだったら…私の裸、み見せてあげても…いいかな…」

「ちょ…おまっ…」



「あれ〜?二人とも何楽しく赤面させてるのー?」

「おぅ川嶋。実は美術部の田中に頼まれてな。大河にぜひ絵のモデルになって欲しいって。
 そんで大河に頼んでたんだが、何か勘違いされてな」

「ふ〜ん、私を差し置いて絵のモデル?亜美ちゃんちょっとジェラシー」

「はん!誰もやるなんて言ってないわよ!」

「あ、そう。じゃあ代わりに亜美ちゃん立候補しちゃおうかな〜。
 そこのちんちくりんなお子様よりもこの私の方が芸術と呼ぶにふさわしいし
 なんならヌードだって全然構わないし。
 そうだ!高須くんも立ち会ってもいいわよ〜」

「くぉら待てこの発情期!」

「なぁに?何か問題でもあるの?」

「大ありよ!人の彼氏つかまえて何寝言ほざいとんじゃあーっ!
 竜児が見ていいのは私の裸だけなんだから!」

「おい大河!お前何言ってんだよ!」

「ううううるさいうるさいうるさい!だいたいあんたがエロス満載な…」

ぎゅっ
「よしよし、そのへんにしとこうな、大河」

ナデナデ
「…うう〜、竜児の馬鹿・・・」

「はいはい、馬鹿で結構ですよ」

「あんたら一応私が目の前にいるってこと忘れてないでよね。まったく…」

「すまん」

「まあいつものことだけどね。私はこのへんで退散〜」

「おぅ」

「ぅ〜〜〜!ぅ〜〜〜〜!」

「ああ悪い悪い。苦しかったか?」

「もう竜児ったら!知らない!」

「はいはい」

「ジュースおごってよ。のど渇いた」

「オレンジでいいか?」

「んー、それでいい」


「そうだ。そういえばこんなことも言ってたぞ」

「(チュー、ゴクン)ん、なによ?」

「モデルしてくれたらお礼として紅茶と手作りお菓子でもてなしてくれるそうだぞ」

「行くわよ竜児」

「へ?」

「美術室に行くっつってんのよ。グズグズしない!」

「おい待てって…ハァ、最初っからこうすりゃ良かったな」


ガラッ
「失礼するわ。お菓子はどこ?」

「ゑ!?」

「て、手乗りタイガー!?」

「よ、よう、田中」

「高須!オッケー貰えたのか!!」

「ああ。ティータイムの話をしたらな」

「そっか…あの、逢坂さん」

「今はもうその名字じゃないけど」

「あ、申し訳ない。あの、モデルやっていただけるそうで…」

「そうよ。さあ早くしなさい。そしてちゃっちゃとお菓子で私をもてなしなさい!」

「りょ、了解。じゃあそこのソファに座ってくれるかな?」

ポフッ
「ふんっ!座り心地は悪くないわね!」

「さて…ところでどんくらいで終わるんだ?」

「デッサンだけで彩色はパソコンでやるから30分から40分くらいかな」

「そっか。すまん大河、俺これから課外出なくちゃならないんで一緒にいれないんだ」

「ええ〜っ…まあいいわ。あんたの分までお菓子はいただいておくから
 安心して課外でもなんでも受けてきなさい」

「おいおい。それじゃ田中、あとはよろしく頼んだ」

「りょーかい。じゃあまた後で」


「終わった終わった。さてと…失礼しまーす」

「あっ、りゅーじー」

「お疲れ」

「おう、そちらこそお疲れさん」

「お菓子どうだ…と言いたいところだがもう残ってなくてな、すまん」

「すみません高須先輩。もっと作ってくれば良かったですね」

「いやこちらこそ。うちの嫁が遠慮もせずに失礼した」

「いいじゃない!美味しかったんだもん!」

「そう言っていただけると嬉しいです」

「絶叫ちゃんの作るお菓子は本当、美味しいもんね」

「やだ、ヤスくん、そんなお世辞はいいから〜」

「いやでもお世辞抜きで美味しいぞ」

「田中先輩までもう〜」

「さりげなくキャラ紹介してるような気がするのはさておき、絶叫ちゃん?」

「ああ、彼女のあだ名。由来は…」

「キャ─────────ッ!先輩やめてください!」

「ちょっとあんた、うるさいわよ」

「すみませ〜ん…」

「いいよ、聞かれたくないことなら無理には聞かないから」

「そうだな。正直すまんかった。ところで紅茶ならあるんだが」

「おぅ、ありがたくいただこう」


「じゃあ一週間後くらいには完成するから」

「おぅ、楽しみにしてるぞ」

「あんたたち、変な風にしたら許さないからね!」

「ひぃ、ちゃ、ちゃんとします!」

「こら大河。後輩をあまりいじめるんじゃない」

「ふん。まあ、スコーン美味しかったから許してあげるわ」

「ま、また作ってきますから。高須先輩もそのときはご一緒に」

「ああ、楽しみにしてるよ。それじゃ」

「じゃあまた」


「ふわぁ〜あ」

「だいぶ疲れたようだな」

「まったくよ。じっとしてなきゃいけないからつらかったわ」

「ご苦労さん。菓子も旨かったみたいだな」

「そうね。あれでまずかったら大暴れしてたところよ」

「頼むから問題は起こさないでくれよ」

「冗談よ」

「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ」

「でもね、竜児」

「ん?」

「竜児が作ってくれたクッキーの方がもっと美味しかったかな…」

「大河…………よし!今度はクッキー作って持っていってやろう!」

「たくさん作ってよね。でないと私の分が足りなくなっちゃう」

「むしろ美術部のみなさんの分が足りなくなるんじゃないか?」

「やっぱり?」

「どう考えてもそうとしか」

「…やだ、もう////」

キャッキャッウフフ



ガラッ
「というわけで絵が完成したので見に来たのだ」

「誰に説明してんのよアンタ」

「あ、高須先輩」

「完成してるぞ。さっそく見てくれ」

「どれどれ…おぅ!!」

「へぇ〜〜〜結構いいじゃない」

「田中のは特徴ちゃんととらえてるな。ちょっとクセっ毛なところとか大きな目とか」

「こっちはずいぶんファンシーな絵柄ね」

「あ、それ僕のです」

「ヤスが描くと瞳がやたら大きくなるんだ。ついでに手足も長くなる」

「そのへんは仕様なんで勘弁してください大河先輩」

「結構かわいいから許すわ」

「こっちは…おぅ、すごい美少女だな」

「それは私が描きました」

「アホ毛が無くて目と眉毛の間が狭いな。それに髪の毛のふわふわ感がよく表現されている」

「どれも結構描けてるじゃない」

「そうだな。作風は違うけどどれも特徴をちゃんとつかんでるし」

「それでな、高須。どれがいい?」

「ん?どれも良かったぞ?」

「気に入ったのがあれば携帯の待ち受けにしてあげたいんだが…」

「おう!?いいのか?」

「彼女さえ良ければ、の話だけど」

「いいわよ、竜児。もらっときなさい」

「うーむ。三つともじゃダメか?」

「あんた欲張りねえ」

「だってよぅ、どれも本人そっくりで可愛いんだからしょうがねえじゃねえか」

「ばっ/////竜児のえっち!!!!」
バシッ

「いてて、やめろよオイ」



「おいおい痴話喧嘩は帰宅後にしてくれ。じゃあ三つとも待ち受けにしよう」

「おお助かる。ありがとう」

「直接高須の携帯に送信しとくよ。さてお茶にするか」

ギラッ
「お茶!お菓子!」

「きょ、今日はたくさん焼いてきましたから遠慮なく」

「言われなくてもそうするわ!」

「実は俺もクッキー焼いてきたんだが」

「ありがとうございます!」

「おっ悪いな。ありがたくいただくとしよう」

「口に合うかどうか…」

「バカね。アンタのクッキーは世界一美味しいのよ!」

「やれやれ、ご馳走様」

キャッキャッウフフムシャパクゴクリ



「あーお腹いっぱい」

「紅茶もなかなかの味だったな。しかしお前晩御飯大丈夫か?」

「平気よ。恋する乙女は別腹なんだから」

「意味がよくわからんがお前なら大丈夫そうだ」

「何よ」

「いいやなんでも」

「ぶー」

「よしよし」
ナデナデ

「ねえ竜児」

「なんだ?」

「私も竜児の待受欲しいな…」

「そうだな。俺だけ大河の待受じゃ不公平だもんな。今度田中に頼んでみるよ」

「うん!!」

終わり。





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