【ツーリング】

大河「バイク乗ってみたいなぁ」
竜児「突然なんだ」
大河「だってさぁ気持ち良さそうじゃん、びゅーんってスピード出したら」
竜児「これまたとんでもなく危ない発想だな。スピード制限は守れよ」
大河「それにさぁ、色んなところに行って、色んな場所を見て、色んな人に出会うのって面白そうだし」
竜児「確かにそうかもな……」
大河「ねぇねぇ、ツーリングしよ、ツーリング!」
竜児「おうっ……これまた無茶難題を寄越したもんだ……」
大河「良いじゃん! 行きたい!」
竜児「まず第壱に免許を取らなければならない。第弐に免許を取りにいく時間が無い。第参に免許を取るにもバイクを買うにも金が掛かる」
大河「第壱は一夜漬けで勉強すれば十分。第弐は学校をサボればクリア。第参は余裕があるからクリア。よしっ! そうと決まれば……」
竜児「全然クリアしてない! お前なぁ、もうちょっと考えてから行動しろよな……」
大河「あ〜、もう! ツーリングしたい〜、色んなところ行きたい〜!!」
竜児「駄々をこねるな! ったく、仕方ねぇなぁ……」


大河「僕らの自由を〜♪ 僕らの青春を〜♪ 大げさに言うのならば〜きっとそういう事なんだろう〜♪」
竜児「自転車だって立派なツーリングだと言ったら、文句垂れてた癖に現金な奴だな……。まぁ、遠出はしていないけど」
大河「竜児ぃ〜、もっとスピード出せ〜!」
竜児「はいはい、振り落とされても文句言うなよ! おら〜!」
大河「ひゃ〜!」


竜児「ブレーキが効かねぇ〜〜!!!」
大河「ひゃ〜〜〜!!!!」




【ジレンマ】

亜美「あんた達見てるとさぁ、『ヤマアラシのジレンマ』って言葉がピッタリかも」
大河「……なんだ、それ?」
竜児「『自己の自立』と『相手との一体感』、このふたつを満たしたいけど満たせないこと、だっけか?」
亜美「そうそう」
大河「『自己の自立』は認めるけど、こいつと『一体感』を得たいわけがないっ!」
亜美「そ〜お〜? ふたりとも、『何か』を共有して、『何か』を得ようとしてるんじゃな〜い?」
大河「な、な、何を根拠に言ってる!」
竜児「…………」
亜美「大体これって悪い意味だけじゃくて、良い意味では『紆余曲折の末、両者にとってちょうど良い距離に気付く』ってことでもあるわけ。
   驚くほどピッタリね。まっ、そんな風にぬるま湯に浸かってるから、お湯の温度が上がってることにも気付かずに大火傷するわけだけど」
竜児「またそれか、その言い回し好きだな……」
亜美「べっつにぃ。忠告よ、忠告」
大河「…………」
亜美「あら、沈黙するってことは、ちびとらには思い当たる節があるのかしら?」
竜児「川嶋、あんまり大河を刺激するな」
亜美「言っとくけど、これはふたりに対しての忠告よ……。本当に」

大河「……ねぇ、ばかちー」
亜美「なによ?」
大河「『山嵐』でどっからそんな言葉が生まれたわけ? 投げる側と投げられる側ってそういう気持ちが生まれるの?」
亜美「だぁ! 人が折角良いこと言ったのに、そこ考えてたのかよっ!? しかも全然ちげーしっ!」
竜児「……責任持って、最初から教えてやれよ」






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