「どうしたんだよ、大河。今日はなんか背が高いじゃねぇか」
「竜児と同じ高さで、見てみたかったの。街とか、人とか。」
「なんで急にそんなこと……」
「同じ高さで見たら、もっと竜児のこと、わかるのかなって思ったの!察しろ鈍犬!」
「おう!?いや、無理だろそれは!」
「なっ……!私は竜児をもっと知りたくて努力してるのに……」
「そっちじゃねぇよ!」
「……」
「おぅ……いや、お前が色々と考えて、それで努力してるのはわかってる」
「……」
「それは素直に嬉しい」
「……うん」
「俺もお前の事はもっと知りたいし、分かり合いたいと思ってる」
「うん」
「しかしな、お前が怪我とかしたら嫌だから、無理はして欲しくねぇんだ」
「うん……?」
「ドジなお前が慣れないものを履けば、足を挫くのは予想がつくだろ?」
「はぁ!?失礼な!ちょっと普段より高いくらいのっ痛ぁ!」
「ほら、いわんこっちゃねぇ。大丈夫か?」
「うぅ〜……竜児、おんぶぅ〜」
「おう。ほら、いいぞ。荷物は自分で持てよ」
「うん」

「なぁ、大河。俺と同じ高さで世界を見てみたいんなら、これでも良くねぇか?」
「……悪くは、無い」
「おう、そうか。俺もそう思う」
「あ、けど、やっぱダメ」
「あぁ?なんでだよ?」
「眠くなっちゃうからダメ!」
「なんだそりゃ。意味わかんねぇぞ」
「……りゅ、竜児の背中、暖かくて、優しいから……」
「おう!?」
「う、うるさい!何も喋んな!ほらほら!キリキリ歩け鈍犬!」






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