広い部屋の中央に並んだベッドがふたつ。
そのひとつに腰を下ろして座る大河が今、竜児の目の前にいる。
結論から言えば、ふたりで一部屋・・・ツインルームに竜児と大河は仲良く収まっていた。

ほんの少し前、フロントで部屋の有無を問うた竜児にフロントマンは無情にもシングルルームは満室だと告げたのだ。
・・・別々に部屋を取れば問題ないか。
そう思っていた竜児は残された選択肢がほとんど無いことに気がついた。
ツインルームなら2部屋用意できるが宿泊料金は4人分と言われて、竜児は悩んだ。
・・・ふたりで4人分だと、モッタイナイ!
・・・でも、同じ部屋はまずいぞ、うん。
・・・出費は痛いが仕方ない。
・・・ここはやっぱりふた部屋で。
竜児がそう決心してフロントマンに「ふた部屋で」と告げようとしたまさにその瞬間。

「何、ひとりで騒いでんの?」
フロントから戻って来ない竜児の様子を見に、大河が来ていた。
竜児の短いが、縮尺32分の1、ジオラマ京都名所シリーズ清水寺の舞台から飛び降りるがごとき心の葛藤など気にする風もなく、ツインしか無いと言う説明を聞いて、大河はひとこと・・・「いいんじゃない、ひと部屋で」といともたやすく言ってのけた。
ぎょっとして大河の顔を凝視する竜児。
「・・・い、いいのかよ。一緒で」
思わず、どもり気味に大河に念押しをする。
「別に、いつも同じ部屋でごろごろしてるんだし、おかしくないでしょ」
「そう言うが俺の家とは違うぞ」
「同じよ」
「本当にいいんだな」
「くどい・・・それとも竜児は私と一緒だと何か具合悪いことでもあるの?」
「別に、ねえぞ」
「なら、いいじゃない。早くしてよ、私、眠いんだから」
ふわ〜と小さくあくびをする大河。
確かに眠そうだ、大河は。
もう、こいつの頭の中には白いシーツとふかふかのベッドのことしかないのだろう。
ならば、遠慮はいらねえ・・・ひと部屋にしますと竜児は指を一本立てて、フロントマンへ突きつけた。

「宿泊カードに記入をお願いします」
カウンターに差し出された小さな厚紙の紙片。
・・・名前、高須竜児・・・住所、大橋市・・・電話番号は携帯でいいか・・・
ボールペンを手にさらさらと必要事項を記入していた竜児の動きがある箇所に来て急に止まった。
記入欄には同行者氏名とある。
大河の名前を書くんだよな、ここ。
竜児は瞬間的に考え込んでしまった。
名字の違う男女が同じ部屋に泊まると言うことに対して、変な印象を持たれないかと不安になったのだ。
プロのホテルマンがそんなことくらいで表情を変えたり、興味ありありの態度を示したりするはずがないのだが、竜児とてそんな社会経験を積んでいるわけではない。
取り越し苦労と笑ってしまうのは簡単だが、この時竜児は真剣に悩んでいたのだ。
ためらった末、宙に浮いていたボールペンを動かして、『高須大河』と空欄に記入した。
斜め後ろから竜児の手元を見つめていた大河が目を丸くする。




「・・・私、竜児の家に引っ越したつもり、ないんだけど」
「当たり前だろ、大河の家はあのマンションなんだから」
ルームキーを手に案内を断って、22階の部屋に向かうべく乗った貸切状態のエレベーターで、大河が言い出した。
「何で、そんなこと聞くんだ?」
「高須大河・・・って何?」
「そのことか・・・深い、意味はねえ」
「ふ〜ん」
「何だよ?気に障ったのか」
「別に・・・ただ、竜児がどういうつもりでああやって書いたのか、知りたかっただけ」
「言っただろ、深い意味はないって」
「・・・逢坂大河・・・高須大河・・・ひと文字減るんだね、名字が変わると」
「まあ、高須の方が少ないからな」
「・・・高須、大河か・・・ちょっと新鮮な響き・・・悪くないかも」
大河はそう言い、くるりと竜児に背を向けると手を後ろで組んだ。
「ねえ、竜児」
「ああ」
「いいよ。今夜ひと晩・・・」
大河は天井を見上げるみたいにして、そこで言葉を切る。
そして後ろ手に組んだ両手を振り解くと、再びくるりと竜児の方へ向き直った。
「・・・高須大河でいてあげる」
わずかに笑みを乗せ大人びた表情でそれだけ言うと、大河はうつむき加減に顔を伏せた。

突然見せた大河の不可解な行動。
まるでシナリオを無視して演技を始めた女優に直面した映画監督になった気分で、竜児は狭い空間を共有している大河を見つめる。
・・・どういう意味だ?
大河が冗談やからかうつもりで言った台詞でないことぐらい、竜児には分かる。
それだけにその真意が掴み取れなくて、竜児は大河との距離のとり方が分からなくなってしまう。
・・・面白い冗談だな、家族ごっこか?
笑いの中で切って捨ててしまうのは一番簡単な処理法だった。
ある意味一番無難とも言える。
大河は「そうなの。家族ごっこ、はは・・・」とか言って笑いそうだ。
多分、それっきり大河はその話題を深く掘り下げて来ないだろう。
でも、その後に大河が見せる表情を竜児はなぜかありありと思い浮かべることが出来た。


大河が抜こうとしているのは研ぎ澄まされた真剣。竜児はそんな気がしてならない。
鞘に戻すなら、この瞬間を逃せばチャンスはもう廻ってこないだろう。
果たして俺は大河が振り回す抜き身の真剣を掴み取れるんだろうか・・・竜児の思考は激しく空回りする。
・・・1年先の天気予報をするようなもんだな。
いくら予想したって当たりっこない・・・しょせん,晴か雨だ。吉と出るか凶と出るか、ふたつにひとつ。
竜児は大河のさせるままにすることに決めた。
それが今後、ふたりの間にどんな影響を及ぼすのか不安が無いと言えば嘘になる。
だけど・・・と竜児は思う。
大河・・・ドジだから・・・抜いた真剣、仕舞いそこねて手を切るのがオチだろう。
だったら・・・お前が怪我するより俺が取り損ねた方がマシだ。
ま、多少失敗して大河も巻き込むかもしれねえけどな・・・ふたりであいこってことで納得してくれ。

それから、チンと言う22階に到着したことを知らせるチャイムが鳴るまで、竜児も大河もミュートボタンを押したかのように無言のままだった。





「降りないの?」
先に降りた大河が、ドアが開いているのにエレベーターから動かない竜児を振り返って言う。
「いちばん上まで、行かないか?」
閉まりかけるドアを手で押さえながら竜児は大河に誘いをかけた。
このまま部屋に入り、ふたりだけになってしまうのを少し遅らせたくなったのだ。
「上?・・・何かあるの?」
「展望ラウンジがあるみたいなんだ・・・夜景見たくないか?」
エレベーターの壁に貼られた広告を見る竜児。
「・・・きれいかな?」
「ああ、保証する」
「竜児の保証なんてあてにならないけど、行ってもいいよ」
「わりいな・・・眠くないか?」
「まだ、大丈夫・・・さっき、ちょっとだけ眠かったけど」
「じゃ、少しだけな」
竜児は大河が再度エレベーターに乗り込むのを待って、最上階の階数ボタンを押した。



深夜0時を過ぎた展望ラウンジは静かだった。
竜児と大河は既に営業を終えた喫茶室の窓際にあるテーブルに向かいあって座り、眼下を眺める。
照明が半分に落ちた喫茶室は程良い明るさで、外を見ることが出来た。
床から天井までガラス張りの開口部を通して見える地平線の彼方まで続く東京の夜景。
宝石を散りばめた様なと、よく言い回されるが、それがぴったり来る表現だった。
「・・・なんか吸い込まれそう」
じっと外を眺めていた大河が感想をもらす。
「光の海ってとこか。さしずめ、あのビルは赤いさんご礁だな」
航空機の衝突防止灯が赤くゆっくり点滅する近くの高いビルを指差す竜児。
「・・・似合わないよ。竜児がそんなこと言うと」
「なんだよ、人がせっかくムードを盛り上げてやってるのに」
「ごめん。そうだよね・・・こんなとこできれいな夜景、見てるんだから雰囲気作らなくちゃ」
大河は言うなり席を立ち、竜児の隣に腰を下ろす。
「へへ・・・竜児の隣」
顔をほころばせる大河。
「そんなに嬉しいもんか? 俺の隣なんかが」
「そだね・・・なんでかな・・・嬉しいよ、とっても」
テーブルの上に右の頬をぺたりと付け、横顔で下から見上げるように竜児を見る大河。
大河の長い髪がテーブル一面に広がり、川みたいに流れを作る。
もの言いたげに揺れる大河の黒い瞳が竜児を捉えて放さない。
竜児はまばたきも忘れたみたいに、大河を見つめ返した。
竜児のわずかな表情の変化にも大河は反応し、首の角度を変えたり、「えへ」と含み笑いをして見せたりする。
「・・・大河」
何度も呼んだ名前に新たな回数を付け加えて竜児は呼びかけた。
普段見せたことがないくらいの取って置きを披露して、大河は竜児に微笑む。
「・・・竜児・・・私ね・・・」
テーブルから上半身を起こし、大河は竜児の耳元でささやく様に言う。
「竜児がこの世に居てくれて良かったって思うの」
大河はそのまま、ことりと頭を竜児の肩に預ける。
「・・・本当だよ」
それだけ言うと大河は目を閉じた。
ほんのちょっとだけ右を向けば、そこに大河がいる。
竜児がわずかに首を振れば・・・・・・そう。




大河が何を求めているのか、竜児には痛いほど伝わって来た。
完全に安心し切って、竜児に身を寄せている大河。
でも、それが大河の背伸びだと同時に竜児は気づいていた。
だらりと伸ばした腕の先・・・小柄な大河に似つかわしい小さな手。その中指がわずかに震えている。
・・・大河、健気だよな,お前は。
竜児は空いていた右手でそっと大河の長い髪に触れた。
目をぱちりと開け、竜児を見る大河。
「さらさらだよな、大河の髪・・・ほら」
清流の透明な水に手を浸すように竜児の右手は大河の髪の中に沈む。
竜児は指の間を広げ、手を櫛のようにして上から下へ向かってゆっくりと大河の髪を梳いた。
毛先に引っかかることもなく竜児の指は髪の先端を抜ける。
通り抜けた竜児の手は振り子のように元の場所に戻り、さっきよりもゆっくりと大河の髪の中を通り過ぎて行く。
大河は心地いいのか再び目を閉じて竜児に軽く寄り掛かった。
そばに寄る大河を感じながら竜児はしばらくの間、忘我の境地。
何度も、何度も手を動かし続ける。
大河はほとんど体を動かすことも無く、竜児にされるがままになっていた。

やがて、動きを止めた竜児の手は大河の髪を飾る赤いリボン・・・少しずれたのを形を整え、直してやる。
「よし、きれいになった・・・良く見せてくれよ、大河」
竜児の言葉に大河はすっと立ち上がり、その場で軽く足を軸にターンして見せた。
「上出来、上出来」
竜児の拍手に「まあ、こんなものよ」と大河はお決まりのポーズで胸をそらして、得意気。



「のど渇かないか?大河」
「そう言えば・・・少しだけ」
「待ってろ、今何か買って来るから」
エレベーターホールのところに自動販売機があったのを思い出して竜児は椅子から立ち上がった。
「私も行く」
「いいよ、大河は待ってろ」
竜児は大河を座らせるとテーブルの間を通り抜け、喫茶室の外へ向かう。
入り口付近で後ろを振り向いた竜児は、座った姿勢のまま、竜児の軌跡を追い掛ける様にまなざしを送って来ている大河の姿が目に付いた。
淡い光の中に浮かぶ大河は妙に儚げで竜児を慌てさせる。
・・・あれじゃ、飼い主が戻って来るのを不安げに待つ、犬だよな。
これじゃ、いつもと逆かと竜児は苦笑する。


「ほらよ」
竜児は買って来たばかりの冷えた飲料の缶を大河の頬に押し付けた。
「冷た・・・・・・ってこれ何?」
「何って、見ての通りだ」
竜児が買って来た銘柄を見て大河は不満そうに口を尖らせる。
「のどが渇いた時はポカリがいちばんだ」
「いらない・・・甘いのがいい」
「ったく、しょうがねえな」
竜児はぶつぶつ言いながら背中に隠していたカルピスウォーターを大河に手渡した。
「これならいいだろう?」
「うん」
「オレンジ、無かったんだ、それでがまんしてくれ」
「いいよ、これで・・・これも好きだし」
プルトップを引き起こしながら大河は缶と竜児を等分に見比べた。




「ん、んんく・・・ふう」
三口くらい飲んで、大河は缶から口を放す。
竜児もテーブルを挟んで大河の前へ陣取り、買って来た飲料をのどへ流し込んだ。
「気分悪いの、直ったか?」
「あれ?・・・そう言えば」
忘れてたくらいだから、もうすっかりいいと大河は全快を表明する。
「そりゃ、良かった」
言い置いて、缶を口元に持って行く竜児。
その仕草を大河はじっと見つめる。
「・・・何だよ?」
「それ、飲みたい」
「それって、これか?」
竜児は自分が手にしている缶を大河の前にかざした。
「うん」
「ポカリは嫌なんじゃないのか?」
「急に飲みたくなったの」
「・・・しゃあねえな、もう一本、買って来てやるよ」
「・・・それでいい」
大河は竜児が持つ缶を指差した。
「これは俺のだ・・・お前が飲んだら、俺の分が無くなるだろう」
「じゃ、これあげる。交換しよ」
大河は自分が手にしていたカルピスウォーターの缶を竜児に押し付ける。
「おま・・・勝手なやつだな」
まんまと竜児の手から青い缶を奪い取ると、大河はいったん竜児を見つめ、すぐに手にした缶へ視線を落とす。
「えへ、もらうね」
コクっと音を立てて大河は缶を傾けた。
「・・・ったく」
そう言いながらも竜児も白い缶を口元へ運んだ。


缶の中身が半分以下に減った頃、横を向いて外を眺めていた大河が言い出した。
「大橋の町ってどの辺?」
「大橋か・・・あっちが新宿だろ」
背の高い建物が密集して並ぶ方角を差す竜児。
「うん」
「あの向こう側だな・・・あの辺から大橋に行く、電車が出てる」
「ふうん・・・ここから見えないのかな?」
「難しいんじゃないか。スモッグ掛かってるし」
新宿の高層ビルですらぼやけた様に見える今夜の都心。
「空気がきれいな時なら大丈夫かもしれないけどな」
「ふうん・・・いつもは見えないんだ・・・・・・まるで・・・竜児と・・・私の・・・・・・・・・みたいだね」
つぶやくように言う大河の声は小さくて、竜児の耳に届かなかった。
「そろそろ、行くか?」
部屋に行こうと言う竜児に大河はうなずいた。




「靴ぐらい、脱げ」
「もう、起きられない」
「だらしないだろ」
「じゃ、竜児やって」
「どこのお姫様だ、まったく」
部屋に入るなり、手近なベッドに大河はダイビング。
うつ伏せの姿勢のまま寝転び、ふわふわの枕に顔をうずめ、ひどくご満悦な様子。
それはいいのだが、靴を履いたまま・・・なのである。
上等なヘリボーン織りのリネンに対する冒涜だ・・・と竜児は大河の行為を糾弾する。
「やってやるから、足をじたばたさせるな」
「へ?」
「痛い!」
不用意に大河の足に近づいた竜児に大河のかかとが見事、クリティカルヒット。
「大河!」
「あら、やだ・・・不幸な事故。遺憾だわ」
「そうじゃねえ・・・だろ」
「別に狙ったわけじゃないのよ」
「どっちでもいい、さっさとそこへ座れ!」
「いいわよ、靴くらい自分で脱ぐから」
大河は本気で竜児に靴を脱がせろと思ったわけではない。
だから、自分でやると言ったのだが、竜児はもうお構いなしだった。
「男に二言はねえ」
さあ、早くしろとせかす竜児に大河は素直にベッドサイドに腰を下ろし、足を床へ向けた。
「ほこりだらけじゃねえかよ」
薄汚れた大河の赤いローファーが今日一日の苦闘をもの語る。
大河の前にひざまずき、下僕よろしく大河の靴をうやうやしく脱がしてやる竜児。
その竜児に対する大河のひと言はとても感謝の念からかけ離れていた。
「あんた・・・汗くさい」
・・・さっきはそんなに感じなかったんだけど、と大河は付け加える。
竜児は腕やら何やらに鼻を着けて己の臭いを確かめた。
「そう言えば・・・少しにおうな」
「ばっちいわよ・・・それ」
汚染感もあらわに竜児をみる大河の視線。
「・・・ああ、安心していいぞ。大河も同じようなもんだから・・・」
「ひっ!」
竜児の指摘に大河は慌てて、自分の腕やお腹の臭いを確認する。
「・・・やだ。うそ・・・ああ、もう」
竜児の言い分に間違いが無いことを知るや、大河は慌てて立ち上がった。
「シャワー、浴びてくる」
そう叫ぶや否や、追っ手から逃れ縁切り寺へ駆け込む女性のように、大河はバスルームへ飛び込んで行った。





「あ〜大河。さっきのぞいたけど、浴槽深いから溺れんなよ・・・足がつかなかったら浮き輪を使え」
「馬鹿竜児・・・そんなお風呂あるわけない!」
そう言い返すと、大河は顔を引っ込め、ぴしゃりとバスルームのドアを閉じた。

まったくと・・・竜児は自分のベッドに寝転ぶ。
バスルームの方からは大河が何かにつまづいたのか、派手な音が伝わって来る。
・・・大丈夫かよ、あいつ。
竜児がそんなことを思っていると、閉じられたはずのバスルームのドアがかちゃりと開き、すき間から大河が顔だけ覗かせて、竜児の方を見る。
「どうした?」
「・・・竜児」
情けなさそうな声で大河は竜児を呼ぶ。
「まさか、一緒に入ろうとか言うんじゃないだろな?」
「誰もそんなこと言ってない」
竜児の軽口に、怒りもせず、ますます情けなさそうな大河の様子が竜児の目にはっきりする。
「ホント、どうしたんだよ?」
竜児はベッドから立ち上がり、バスルームへ近づいた。
大河はさっき、バスルームへ飛び込んだままの姿で竜児をお出迎え。
「なに、やってんだ?・・・入らないのか?」
「・・・入れないの・・・」
「何でだよ?」
「あのね・・・脱げないの・・・服」
「はあ!!」
あまりにも突飛な理由に竜児の語尾が上がる。
「ワンピの背中のファスナー・・・いくら引っ張っても・・・下りない・・・どうしよう、竜児?」
「ど・・・どうするって・・・」
「ねえ、竜児・・・お願い」
「ああ」
「ファスナー下げて」
それだけ言うと大河は竜児に背中を見せた。


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