「ねぇ、竜児」
「おう、どうした?」
「食材に付いて話さない? 何か最近話題になってるみたいだからさ」
「おう、ネタの話か? そいつは俺の得意分野だ、いいぞ」
「それじゃ、まずは今一番ホットな音声編集に付いてね」

「よし、まずはシャケの話ってことだな」
「は? あんた頭おかしくなったの? 私のちょっと危ない変態趣味の話だって言ってるでしょ?」
「いや、だからそれがシャケ料理って事だろ?」
「そう……ね、そうとも言えなくもないわね……」
「だろ? ごくごく一般的な食材って事だ。誰もが目にするし、その調理方法も様々だからな」
「うんうん。シャケを塩焼きにしたり、ムニエルにしたり、味噌と一緒に炒めたりするわけよね」

「そうだ。それで食卓に出して、みんなで旨い旨いって言いながら食うのがこの場所だ」
「この場所って……このせせこましいちゃぶ台の事を言ってるわけ?」
「まぁ、そうなるな。高須家に並ぶ料理は全部、おまえの好物だぞ?」
「そんなの当たり前じゃない、だって竜児が作って竜児と一緒に食べるんだもん」

「そうだろそうだろ。で、だ、例えば今が秋だったとしよう。大河は何が食べたい?」
「んーっとね、サンマ!」
「そうだよな、旬のものは食卓に並ぶ回数が増えるよな」
「うんうん。だって美味しいもん、何回だって食べたいわっ!」

「それじゃ、秋なのにシャケが何回も食卓に並んだらどうだ?」
「そんなの一々聞かなくても、何も問題ないじゃない? 一般的なおかずなんだもん」
「分かってるじゃねえか、大河。いつでもおいしく食べられる……最高だよな」
「いつも新鮮な食材を仕入れてくれる職人さんに感謝しながら食べるのみっ!」
「おうっ! 大河のために料理しておいしく食べるっ!」
「いっぱい食べるっ!」

「よーしよしよし、バンザイはしなくていいからな」
「へへへ」
「それにしても、相変わらず食い物の事に関しては元気いっぱいだな、大河」
「何よそれ、バカにしないでよね?」
「はいはい……そういえばさ」
「ん、何よ?」
「例えばチャーハンの味付けの微細な変化の話だとか、レアな魚の話みたいなものもあるんだとさ」
「へぇ……それで?」
「でも、長くなったから面倒だって言ってるんだ」
「そうね、私も飽きたわ。っていうか、お腹空いた!」
「しょうがねえな……」
「ほら、早くしなさいよ……」
「……おう」



ギシギシアンアン





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