大河「ねえ、竜児!『秋』と言えば何を思い浮かべる?」
竜児「何をいきなり…」
大河「私ね、国語の成績がいいじゃない。だから文芸部に頼まれたのよ。
   文化祭で配る広報誌に載せる俳句を一句作ってほしいって」
竜児「なるほど。そうだな…秋と言えばやはり食欲・スポーツ・読書ってイメージだよな」
大河「そうね。それから秋刀魚・松茸・栗なんかがメジャーね」
竜児「やっぱり植物の方がきれいな句が作れるんじゃないか。紅葉とかコスモスとか」
大河「秋の植物と言えば、柿・リンゴ・ブドウといったフルーツも捨てがたいわ」
竜児「インターネットで秋の季語を調べてみたらどうだ」
(数分後)
竜児「おお。いっぱい秋の季語があるな。稲妻・天の川・霧なんかが秋の季語だなんて初めて知ったぞ」
大河「ほんと、レモンやトウモロコシが秋の季語だったとは意外ね」
竜児「運動会・案山子・台風なんかも秋の季語なんだな」
大河「台風で思い出したわ!あんたが学校の裏庭で作ったサツマイモ!サツマイモも秋の季語よね?」
竜児「なあ…いい加減食べ物から離れないか」
大河「う、うるさいわね!別に食べ物の事ばかり考えてるわけじゃないわよ!
   ええと…食べ物以外では…猪・豊作・凶作・いわし雲なんてのがあるわよ」
竜児「それも微妙に食べ物と関係してるんだが…」



大河「ああもう。秋は良い物がたくさんありすぎて迷うわ。他の季節にしましょう」
竜児「じゃあ、冬にするか」
大河「冬と言えば、鍋・おでん・雑煮・鏡餅よね」
竜児「後ろ2つは冬というより新年の季語だな」
大河「いちいち細かいのよあんたは!じゃああんた春の季語言ってみなさいよ」
竜児「ええと、そうだな、やっぱり春と言えばひな祭りや子供の日みたいな行事じゃないか」
大河「そしてその行事とセットで付いてくるひなあられ・かしわ餅ね」
竜児「いや、そこは雛人形と鯉のぼりでいいだろ」
大河「そして春と言えば何と言ってもお花見でしょ!」
竜児「お前は俺に『花より団子』とつっこんでほしいのか?」
大河「ふんっっ!!!」
竜児「グハッ…みぞおちに…」



大河「ったく…ねえ、竜児、見て。ひじき・もづく・海苔も春の季語だって。意外ね」
竜児「ゲホッゴホッ…そうだな、イソギンチャクが春の季語なんて知らんかった」
大河「ここには載ってないけど『鰆』も絶対春の季語ね。魚へんに春って書くくらいだから」
竜児「で、どの季節にするんだ」
大河「やっぱり夏がいいかしら。かき氷・スイカ・アイス…」
竜児「はあ…もう何も言うまい…」
大河「それから…水着・プール・夏休み・海水浴・肝試し・花火…」
竜児「…」
大河「ねえ、竜児、覚えてる? 私とあんたとでみのりんを怖がらせようとして…」
竜児「ああ、忘れるわけねえじゃねえか。楽しかったよな」
大河「ねえ、竜児。今思えば私、そのころからもう竜児の事が好きだったのかもしれないね。
   北村君と一緒にいる時よりも、竜児と一緒にみのりんを怖がらせたり、
   逆に怖がったり、夜に話をしてた時の方がずっと楽しかった」
竜児「…そうか」
大河「竜児、決めたわ。私、夏の句を作ることにするわ。去年の楽しい思い出を俳句にするの」
竜児「おう、出来たらぜひ教えてくれよ」
大河「あ、一句思いついた」
竜児「え?もう出来たのか?」
大河「 夏の夜 犬といっしょに カレー食う 」
竜児「結局食いもんかよ!」 





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