高校最後の夏。大河は高須家で宿題や昼食をとるのが最早日課になっていた。
「ねえ竜児、ご飯まだ?」
「あとは皿に移すだけだ。今日はチャーハンだぞ。夏バテ防止のためにニンニクも多めに入ってるぞ」
勢いよくチャーハンを食べ出した大河。
こうして二人で食事してると、まるで去年の半同居生活に戻ったみたいだ、と竜児は思った。

「はあ、食った食った! ふぁぁぁぁ…りゅうじ…おやすみ…」
「こらっ! 食べた後すぐ横になるんじゃありません!」
「うるさいわね…」
「それと、使った食器は自分で片付けなさい!」
「ったく、アンタは私の父親かっての」
そう悪態をつきながらも大河は自分の食器を片付けに行った。
やれやれ、と思いながら竜児がちゃぶ台に肘をついてテレビを見ていると
ガバッ
大河が背中に抱きついてきて、またあくびをした。竜児は顔を真っ赤にしながら大河に言った。
「お、お前、何やってんだよ」
「何って、ここで寝るのよ」
「寝るなってさっき言ったばかりだろーが」
「アンタは『横になるな』とは言ったけど、『寝るな』とは言ってないわ」
「だからってこんなところで…」
そうこうしてるうちに大河はスヤスヤと寝息を立てて寝てしまった。
「はあ…」
竜児がため息をついた。動物園のコアラが抱きついている木になったような気分だった。
でもこういうのも悪くないな、と竜児は思った。
普段なら、昼寝をしても2時間くらいで起きる大河だが、この日は夕方になるまでずっと起きなかった。






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