「竜児、私は今こそ立ち上がる時だと思うの」
急に大河はまじめくさったように言い出した。
「おぅ?何がだ?」
「今社会では政治手腕が問われているわ。どこの党の法案もなっちゃいない。だから私がやるのよ」
「おまっ、まさかまた『モルグに葬り去る』とか『魔契約の書』とかやるつもりか?」
「馬鹿ね、私はいたって真面目に言ってんのよこの駄犬。私は未来の事を憂いているの」
「馬鹿はお前だ。俺たちはまだ被選挙権どころか選挙権すら持っていない」
やれやれと呆れたように竜児は大河を見つめる。
「それよ!!そもそも選挙権が無いのがおかしいのよ!!」
「おいおい」
「だって高校って義務教育じゃないのよ!?だったら中学卒業と同時に成人、選挙権獲得でも良いと思わない!?」
「いや、そんなこと俺に言われたって……」
「だから私はここに宣言する!!今日より逢坂大河党を結成するわ!!」
「……参考までにマニフェストは?」
「もちろん若年層の権利の獲得よ。それに加えて私や竜児のような子供が困らないように子供を護る法案を強固にするわ」
「おぅ、意外にまともな法案だ」
「だから真面目に言ってるって言ったでしょ。まぁ中学卒業と同時に選挙権獲得は難しいかもしれないけど成人法案は通したいわね」
「言いたいことはわかるがなぁ」
「それにあれよ、少子化を防ぎ、子供を護るためにも浮気等の罰則、離婚の極刑化などを図るわ」
「お、お前いくら何でもそれは過激じゃないか?」
「いいえ!!これも未来のためよ!!」
大河は真っ直ぐに俺を見つめる。
そこには打算的なものなど感じられなかった。
本気で、真剣に考えているのだ。
「大河、お前がそこまで真剣に日本の未来を憂いていたなんて……」
「竜児、ようやく理解したようね。と言っても完全ではないようだけど」
「どういう意味だよ?」
「まぁいいわ。それより竜児、さらに少子化対策を講じようと思ってるの」
「さらにって?」
「今の法案だと子供は減らない代わりに増える要素もない。だから夫婦には小作りの義務を設けるのよ」
「はぁ?」
「いい竜児?子供が一杯出来れば労働力が生まれるわ、労働力が増えれば一人当たりの税金負担が減るの。それに歩合して税金を上げつつ子育て支援に税金を使うのよ」
「一見合理的に見えなくもないが、なんか無茶苦茶だな」
「というわけで竜児、早速この法案を施行するわ」
「は?」
「言ったわよね?『未来のため』って」
「いや、お前は日本の為に……」
「私は一言も日本なんて言ってないわ」
「中学卒業と成人、離婚の極刑、小作りの義務……完全には理解していないというのはまさか……」
「フフフ……」
「ま、待て!!法案はまず公示してから……」
「ああ、じゃあそれも変えましょうか」

ギシギシアンアン!!





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