・縁日にて

「ん〜……いよっと」
パンッ
「あー、くそ!また外れたー!」
「……なんか意外だな。射的が苦手な大河って」
「うるっさい!ここまできたら絶対にあのぬいぐるみを堕とす!」キュッキュッ
「おう、そうか。頑張れよ」
「何言ってんのよ。あんたも加勢しな」
「……はいはい。じゃあおじさん、1回お願いします」
パンッ
「当たったけど落ちないしー!」
「大河、今狙った犬のぬいぐるみでいいのか?」キュッキュッ
「そうよ。ご主人様のために」
パンッ ポト
「頑張りなさ……え?」
「おう、これでいいんだろ?」
「うん、そう。ありがと……って、え?なんで?」
「なんでって言われても……」

「亜美ちゃん、あのネコ欲しいなぁ」
「おぉうっ……あぁ、なんだ。川嶋か。急に耳元で喋りやがって」
「なんだとは失礼〜。まぁいいや。アレ、狙ってみてよ高須君」
「おう、かまわねぇけど」キュッキュッ
「ん?タイガー?何ぬいぐるみ抱えてニヤけてんのよ」
「ふぇっ……あ、なんだ、ばかちーか。」
「……あんた達ってホント失礼」
パンッ ポト
「ほら、川嶋。ご指名のぬいぐるみだ」
「すごーい、一発じゃん!高須君って料理と掃除以外にも出来るコトあったんだね!」
「おう。射的は昔から得意なんだ。なんでか銃を持った瞬間に銃身の曲がりがわかるしな」
「えー凄いじゃーん!」
「(竜児、それってお父さんの方の遺伝じゃ……)」


「そんな目つきの悪い感じので良かったのか?他にももっとかわいいのあったじゃねぇか」
「いいのよこれで。こんくらいの方が愛嬌があるのよ!」
「そうか。ならいいけどよ」
「……ふふ。ね、りゅうじ」
「なんか言ったか?」
「なななん、なんも言ってないわよ!空耳よ!」



「ゴルゴ、俺の依頼はあの龍のぬいぐるみだ」
「俺はゴルゴじゃねぇ」
「じゃぁ俺がゴルゴだ」
「櫛枝、自分で撃つのか?」
「あれ?まぁいいか。高須君、アレ撃って」
「はいはい。龍のぬいぐるみね」
「でも撃ち抜いちゃやだよ」
「撃ち抜けねぇよ!」
「撃つ順番は右腿、左腿、右肘、左肘、喉の順番だ」
「撃ち抜くんじゃねぇか!」




「(ハッ…竜児に包丁持たせるとすごいのも…もしかしてお父さんの遺伝?)」
「ん?どうした?」
「…まさかね。ううん、何でもない。帰ってご飯にしよっ!」
「まだ食うのかよ…」





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