「ねえ竜児、知ってる?北斗七星……大熊座ってのは、北極星を含む小熊座を見守るために、ずっと沈まないでいるんだって」
「おう、なんか聞いたことあるな、それ」
「なんか私みたいよね。色々あっても、結局北村君に近づくことも離れることもできないで、ちょっと離れたところをぐるぐる回ってるだけなの」
「……どっちかと言うとこの間までの北村だろ、それは。生徒会長……もう前生徒会長か、とにかく狩野の兄貴っていう北極星の近くをぐるぐると回り続けてたんだ、あいつは。
 大河は星座でいうなら……そうだな、アンドロメダだ」
「何よそれは」
「知らねえか?親のせいで海の怪物の生贄にされちまうお姫様だよ。んで俺が……その……ペ、ペルセウスだ。メデューサの首は持ってねえけどよ、自前の眼力で怪物だろうが何だろうが石にしてやるぜ」
「……」
「お、おい、大河?」
「……ぷ……くく……くぁっははははは!」
「ば、爆笑!? 何で!?」
「だって、あ、あんたがペルセウスって……似合わな過ぎで……ぷくく……」
「わ、悪かったな!……人がせっかくいい話に持っていこうと思って考えたのによ……」
「そういうのを犬の考え休むに似たりっていうのよ。照れながらカッコつけていい話も何もないもんだわ。
 大体私がおとなしく生贄になんかなるわけないでしょ。ペルセウスが来る前に自力で怪物と、ついでに親もぶっとばしてお終いよ」
「おう、そりゃそうだな」
「だいたい犬のくせにペルセウスなんてのがおこがましいのよね。あんたはせいぜい大犬座ってとこよ。犬なんだから」
「……そのまんまじゃねえか」




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