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はじまりは、高一の春休みだった。

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大河はその日駅前の新しくできた弁当屋にむかっていた。駅に向かうには中央公
園を抜けると早い。しかし、中央公園はヤンキーのたまり場で有名だった。時刻
は夕方の6時半。大河の性格である。ヤンキーのたまり場に、引くことなど到底考
えられなかった。当然の如く中央公園を突っ切っていく。

ここで、この駄文の作者の脳細胞が単細胞でできていることを証明するようなベタな展開が起こる。
そう。中央公園のヤンキーが二人組が大河に絡むのだ。

全くもって単純構成極まりないお決まり展開である。
いや、それも当然の流れなのかも知れない。やはり大河である。ご存知の通り内
面は狂暴きわまりない天上天下唯我独尊娘であるが、容姿はというとフランス人
形に生を与えたような精巧な顔のつくりにふわふわの茶色がかったシルクの髪を
持つという、もし美の女神がいるのならその寵愛を一身に受けたと表現せざるを
得ないという美貌の持ち主だ。

「あっれぇ〜。彼女、一人なわけぇ?今から俺らと遊びに行かね?」「行くべ。
行くべ。」などと絡んでくるヤンキー二人組に対し、大河はギラリと睨み付ける。
「おい。やめろ。」大河が鉄拳をお見舞いしようと構えた時であった。大河の
後ろから男の声がした。これまた、このボンクラ作者の考えそうな流れを裏切ら
ない形で竜児が登場してみせたのだった。




しかし、今回の竜児はいつもと少々勝手が違うようだった。「あん?何ちょーし
こいてんだおめぇ!ひねっちまうぞコラッ!……って。こいつ知ってるぞ。」
「………間違いねぇ。高須だ。デッドマン高須だぁ。ひぃーー」
「「高須くん、すいませんでしたぁ!!」」ヤンキーは一目散に逃げ出した。

デッドマン高須、大橋界隈でその名を聞いて喧嘩を売るバカはいない。
高須。老若男女問わず皆平等に暴力をふるい、骨が折れる音を好み、血の匂いを求め、悲鳴の中で生きる。
悪辣、狂暴、卑劣、残虐おおよそ、悪いとされる形容詞が当てはまり、高須とも
めて助かった者などいない。(ほとんどデマ)それが高須竜児だった。

まぁ補足しておくと竜児はヤンキーはヤンキーだけど、高校に入って少し落ち着
いたようなのだ。中学の時にはグレていた。よくある思春期の事情である。ただ、彼は喧嘩が強かったんだ。
中学一年にして巨大勢力大橋第二中の頭だった。そこから、老若男女の下りがきているのだろう。
しかし、元々根は真面目で勉学も中々できる。いい高校に入って泰子に楽をさせてやりたい。
子供心にそんなことを思い県内では進学校と言われている大橋高校に入学した。
ただ、高校に入れば高校にも不良はいる。入学したての頃、大橋高校最強と言われていた不良グループに喧嘩を売られ、
あっけなく勝ってしまった。周囲の反応は皆さんの想像通りであった。
高校デビューを少なからず、いやおおいに狙っていた彼はまた少しグレた(←これはネタ的な意味だよ。)




「大丈夫か?」

大河はその声の主を見上げた。その男はいかにもヤンキー。俺に近寄るな。とい
った顔面の持ち主だった。ハッキリ言ってタイプではない。タイプではないのだけれど…

大河とて女だ。悪い気分はしなかった。むしろ…
「ぁわあぁ、ありがとう。……その、助かったわ。」
そう言って振り返ってみせた大河に、竜児は見惚れてしまった。

「っお、おう。そっか。この公園はもう通るんじゃねぇぞ。ああいう輩多いから。
……お前みたいなんは特に狙われっからな。」またまたヤンキー顔に似合わず
頬赤らめちゃってぇこのヤロー。

それが伝染して大河も真っ赤になった。それは、ほんっの少しだけだが、ロマン
チックな出会いをした相手なのだ。当然だ。だって作者の願望ベタベタ妄想だもん。

「じゃ、俺は帰らないといけないから。気を付けろよな。じゃな。」そう大河に
言って竜児は大河に背を向け歩きだす。ヤンキー設定のくせに照れ屋さんなのか
このヤロー。



「えっ?あっ、うん。えっ?あっ、あの。名前とかっ…その、お礼とか………」
大河が思わず竜児を呼び止める。

「いや、別にそんなつもりじゃねえから。」竜児はそう言い残すと、まだ暖かく
なりきっていない少し肌寒い春の公園の奥へと歩いていってしまった。作者は思
う。キザだ、キザだ。このご時世でキザだ。だっさー。でも、いいんです。これ
は俺の妄想だから。


トクン。

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そう胸に今まで感じたことのない高揚を感じたのは………二人ともだった。おい
おい、はじめっから両思いかよ。ちっともおもしろくねぇぞ。しかし何度も言う
が、これが作者の妄想なんだからしょうがない。張り切っていこう♪

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「泰子。今日は豚カツだからなぁ。早く支度しろよ。へへぇん♪」

「わぁ〜。豚カツだぁ。やっちゃん、りゅうちゃんの豚カツ大好きだよぉ。ん?
りゅうちゃん、今日なんかいい事でもあったのぉ?」
「おっおう?なんもねぇよ。早く支度しろ。」

「えぇ〜。でもでも、りゅうちゃんさっきからニヤけっぱなしだよ。」

「ニヤけてなんかねぇよ。今日は、そうだな。。。あれだ。豚が特売だったんだ。」
よかったよかった。竜児はこのSSの中でも、この設定でも家事はちゃんとす
るどうやら母親思いの良い子みたいだ。それでも、キャベツを千切りにしながら、
そんなニヤけないでくれ。妄想とはいえ、お前の笑顔はまだ恐いんだ。


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大河は家に着き食事をすませた後、一人今日の出来事を思い返していた。

また、、、会えるといいな。そう小さく呟いた。

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読んでくださった皆さんも溜息をついてしまったのではないでしょうか?こんな
の竜児じゃなぁい。そう叫んでしまってはいないですか?

ですが、これが竜児です。今回僕が描いた竜児なんです。しかも、はじめから両
思いです。不快かも知れませんが、どうかこのキザったるい竜児と大河のこれか
ら始まるストーリーを見守って頂けたら幸いです。


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