「ヒマね〜 何か私を楽しませなさいよ」
「ハァ?」
「犬なら芸の一つもして主人を楽しませなさいって言ってるの!」
「……分かったよ、ちょっと待ってろ」

手品?ふすまを閉めてガサゴソ準備してるみたいだし。
「たいが〜 手拍子を頼む」
手拍子?ダンスかな?
パチ!パチ!パチ!


ガラッ!
「パンツゥ!オレのパンツ!いろんな物に早変わりッ!
『テントウ虫』
あっソレッ!パンツ!オレのパンツ!」

私は何てことしてしまったの、私が芸を見せろなんて言わなければ竜児のブリーフ姿なんて見なくて済んだのに。
ゴメンね竜児、ワタシ北村君のことが好き。

「えぇ〜では会場のお客さんにも手伝って貰いましょうね、やってみたい人!」
周りを見渡しても家の中にはワタシ1人しか居ない。意を決して固く拳の握り、天を突き挙げるように手を上げた。
「ハーイ、ワタシヤリタイデス」
それから2人で『ラクダ』『双子座』『せんと君』を披露してステージは終了した。
「どうだ、俺のパンツ芸は凄かったろ?」

ダメ!ここで認めたら竜児がダメ人間になっちゃう、どうしよう……
「どうした大河、オモシロくなかったか?」

私が竜児を目覚めさせる!!
「まだまだね……私の方が凄いわよ、ちょっと待ってなさい」
大河はふすまの向こうに消えた。
俺のパンツ芸に勝てるものなんてないさ、俺はこのパンツ芸一筋で町内会・学芸会そして泰子を笑わせてきたんだからな。

「竜児、手拍子!!」
パチ!パチ!パチ!

バーン!
「パンツ!私のパンツ!」
どんなネタを仕掛けたんだ大河?後ろを向いてるってことは正面に一発でキメられる武器を仕掛けてるんだろ?

「パンツとブラで早変わりッ!」
クルッ!『仮面ライダー』

「ソッ、そのポーズは!!アマゾン?」
「ピンポ〜ン 正解!」

その日、私は竜児と初めての朝を迎えた



「それが私と竜児の馴れ初めかな……」

「そんな話を信じるワケないでしょうが!!」
「…チッ、バカちぃのクセに」
「実乃梨ちゃんも言ってやんなさいよ」

「まぁ萌ポイントや愛の形は人それぞれだと思うけど、今ので2人が恋人になるとは思えないかな」

「珍しくこのメンバーでガールズトークしてるんだから正直に話なさいよ」

「……分かったわよ、話せばいいんでしょ……本当は『せんと君』じゃなくて『地デジカ』なの」

「やっぱりね!」




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