我が家の隣にはボロいアパートが建っている。見るからに古臭いデザインの木造二階建て。二階の玄関へと続く階段だけが鉄製で、しかも錆だらけ。
一生登ることなんてないと思っていたその階段を、気付けば毎日登っている。
あるときは眠たい目を擦りながら、またあるときは笑顔で。もしかしたら泣きそうな顔で登ったこともあるのかもしれない。
そして、ここを登りきれば安っぽくて薄っぺらいドアがある。
開ける度に希望や光を与えてくれるステキなドア。だけど、閉める度に淋しさや深い闇を寄越して来る意地悪なドア。

だけど、私は今日も勢いよくこのドアを開く。

きっと帰るころにはドアを閉める淋しさよりも強い光を与えてくれると思うから。




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