「いつも駄犬だイヌだのバカにしやがってフザケんな!」
「アンタは私の犬でしょうが!いつも私に恥じばっかりかかせからご主人様が躾てあげてんのよ!!」

「じゃあオレはお前の犬、ペットなんだな?」
「そうよ!」
「だったら躾だけじゃなくてちゃんと面倒もみろよ」
「…へっ?」

「オレは犬でオマエは主人なんだろ?だからオマエはオレの面倒を見ろオレはもう何もしない、以上だ」
「イヤよ!!何で私がアンタの面倒見ないといけないのよ」

「そっか……大河、ソコのダンボールとマジック取ってくれ」
「なに作っての?」
「最初で最後の頼みだコレを持ってついて来てくれ」

「『優しい子です拾って下さい。17才名前は竜…』ちょっとアンタ何コレ!」
「拾って貰うんだ、さぁ行くぞ」

「拾って貰うって…ドコに行くのよ」
「櫛枝の家だ」
「ヌァッ!!!!」

「櫛枝は優しいから絶対拾ってくれると思うんだぁ、そしてスッゴいカワイがって面倒見てくれるだろうなぁ。ホラ早く行くぞ!」
「……分かったわよ…ヤッテやる…ヤッテてやるわよ!!アンタの面倒!」

「アリガトー大河!」
「ちょ、ちょっと!あんまり舐めないでよ」
「だってよ〜嬉しくてさ」
「まっ、まぁ仕方ないわね、ご主人様は寛大な心の持ち主だから許してあげる。バカ犬!散歩に行くぞ!!」
「オゥ!」

ご主人様の躾は厳しい、でも偶に優しくしてくれる、オレはそんなご主人様が大好きだ。
捨てられなくて良かった


「何だよそのバック?」
「竜児が散歩の途中で粗相をしたら困るでしょ?」
「へぇ〜立派な心がけだな」
「飼い主として当然のマナーよ。あっ!そこのコンビニで水買ってくるからアンタは入口でステイしてなさい」
「オゥ!」

「水だけじゃ寂しいかな?しょうがないビックカツも買ったげるか、私って優しいな〜」

「おいしい?高須君」
「オゥ!」
「ちょっとバカチー!!勝手にエサあげないでよ!」

「だって1人で寂しそうだったし撫でたら凄いスリスリするからお腹すいてると思って…」

「……気持ちは嬉しいけど竜児は躾の最中なの、知らない人に食べ物貰ったり拾い喰いしてお腹壊したら大変だから…」
「ゴメン、余計なことしちゃったな」
「そっ、そんなつもりで言ったんじゃないの!」
「フフッ、がんばってね!犬のために」
「ありがとう」

「じゃあ車に気をつけてね」
「うん、バイバイ……さぁ竜児!河原まで走るわよ!!」
「オゥ!」

河原に着いてしばらく2人で揺れる水面を眺めた、夕陽に照らされキラキラと輝く景色と音は時の流れを忘れさせる。
隣に立つご主人様を見上げると風に揺れる髪がとても綺麗だ、手に持つ棒もご主人様の威厳を漂わせて素敵。

「ウォリャー!!取ってこい竜児!」
「オォゥ!」


「ワァ〜シャシャシャッ、エライネ〜竜児は」
「もっと投げてくれよ!」
「もう暗くなるからお終い」
「エェ〜」
「今度フリスビーとボール買ってあげるからね、だから今日は帰ろ」
「オゥ!」


「飯まだか〜?」
「いま作ってんだから黙って待ってなさい!」
「大河ぁ〜」
「ナニ!!いま大変なのよ!」
「オシッコ」

「……さすがにそれは自分でしてよ」
「スマン」

「すっきりした、飯できたか?」
「…………」
「オイ!どこ行くんだよ」「竜児!ちょっと来なさい」
「なんだよ〜」
「アンタ何で流してないのよ!!」
「オレ犬、まだ習ってない」

「……竜児、トイレを使ったら流すの、ココを捻ったら水がジャーって流れるから、分かった?」
「オォ!飯は?」
「一応できた……焦げてるけど…食べる?」
「オォ!」

「無理しなくていいよ……マズいでしょ?」
「大河、今日はありがとな嬉しかったよオレの面倒みてくれて」

「味は?」
「やっぱりオレは大河と一緒の時が一番幸せだな……大河の手料理食べれるなんてオレだからな、いろんな意味で」
「ありがとう……あの料理の」
「大河!!!」
「ハイ!」

「ずっとオレの主人として、いつまでも隣に居てくれるよな?飯はオレが作るから」
「それって……」

「この先の人生をオレと共にしてくれ!炊事は任せろ」
「ハイ…逢坂大河は高須竜児と生涯を共にします、これからも宜しくね」

「こちらこそ宜しくな……このみそ汁うまそうだな」
「うん、自信作!」

これでずっとご主人様と一緒だ。
毎日一緒に散歩に行って食事して、2人で風呂に入って夜は同じふとんで寝るのか……夢見ていたことが現実になった。
幸せを噛みしめながらおいしそうなみそ汁に口を付ける、正面に座るご主人様もニッコリ笑い2人でみそ汁をズズッとすすった。


『ショッペー!!!!』


キャッ!キャッ!ウヒョヒョヒョ…

「………やっぱり上の高須さんに出てってもらうか」

「賑やかで良いじゃないですか、お父さんは素直じゃないですね」
「なっ、何を言ってるんだ母さん!」

「じゃあ何で屋根裏部屋なんて作ったんですか?」
「ハッハッハ、母さんは何でもお見通しだな」



今回のハートウォーミングな話はいかがでしたか?
変な話はもう飽きた
次からはみんなに感動したって言われる話を書きたいなと思いました。



次回『祐作、高須君の抱き心地はドゥ?』をお楽しみに!




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