竜児が治った頃に大河発症。
お正月は高熱の下、大河は過ごす羽目に。

「馬鹿犬、アンタがあんなことするから」
「大河だって拒まなかっただろ」
「それは、そうだけど。ああ遺憾だわ。せっかくのおせちが、伊勢えびが」
「消化の悪いものは駄目だ」
「わーてるわよ、それくらい」
「うらめしそうに、俺をを見るな」
「ね、ちょっとだけ」
「はあ、仕方ない。少しだけだぞ」

・・・・・・・・

「ほら、特別にやわらかく煮て来た。ゆっくり食えよ。ほい、スプーン」
「うん。竜児」
「っと、やっぱ、スプーン貸せ」
「え〜おあずけ!犬の分際で」
「怒るな、違う」
「じゃあ、なんなの」
「俺が食べさせてやる。お前が食うとがつがつしそうだ」
「え!」
「ほら、あ〜ん」
「え、え!」
「ほら、大河。口を開けろ。あ〜ん」
「わ、分かったわよ。あ〜ん」
「どうだ?」
「うん、おいしい」
「もうひと口、行くか?」
「うん」

かくしてふたりだけの夜は更けて行く。




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