TRRRRRRR……
「はい、高須……
 あ、お母さん?どうかしたの?……
 ええー!?どうするの?……
 あー、うん、わかった……
 大丈夫大丈夫。ハンコはいつもの所にしまってあるよね?……
 うん、お母さん達も気をつけてね」
「竜河、母さん何だって?」
「んーとね、飛行機が欠航になったんで、今日は向こうに泊まるって」
「欠航?そんなニュースやってたかな?」
「機体のトラブルとかいう話だったけど」
「しかし、そうすると帰ってくるのは早くて明日の昼過ぎか……
 ちぇ、久しぶりに美味い朝飯が食えると思ってたのに」
「……お兄ちゃん……そんなこと言うなら明日の朝ご飯は抜きね。あとお弁当も無し」
「いやいや、竜河のももちろん美味いって!ただほら、父さんのは別格だから!」
「どーせ私はお父さんほど料理上手くないですよーだ」
「頼むよー、朝も昼も抜きじゃ練習の途中でぶっ倒れちまうよー」
「んー……ま、許してあげる」
「ほっ……助かった……」
「あ、そうそう、それでね、お土産にナマモノがあるから先にクールの宅配便で送ったって。明日の午前中に届くから」
「……ん?……なあ竜河、ちょっと妙じゃないか?」
「何が?」
「だって、もう8時過ぎだぜ。母さん達が乗る飛行機って、たしか7時頃の予定だっただろ」
「手続きとかなんとかでちょっと時間かかったんじゃないの?」
「そうじゃなくて、宅配便の方。こんな時間に受付ってやってるもんなのか?」
「……よく知らないけど、空港ならそういう所もあるんじゃないの?」
「それにしたって明日の午前中に届くってのは早過ぎじゃねえか?」
「えーと……どういうこと?」
「だからさ、本当はもっと早くに向こうにもう一泊する事決めて、土産送ったんじゃねえかな」
「……なんでそんな事するの?」
「想像だけどさ……母さんが『ねえ竜児、せっかくだからもう一日ぐらい夫婦水入らずで過ごさない?』とか……」
「……そんなことない……とは言えないわね……」
「あの二人、いまだにラブラブだもんなあ……いい加減思春期の子供の目の前でキスするのは勘弁してほしい……」
「お父さんもなんだかんだいってお母さんには甘いし……なんてゆーか、ほとんどバカップル?」
「……なあ竜河、来年あたり弟か妹ができたらどうする?」
「……わ、わぁーい……」




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