大橋商店街の福引会場。
 真剣な表情でレバーを握る大河。
 その後にはいくつものティッシュを手にした竜児。
 チャンスはあと一回。
 狙うは1等……魚沼産コシヒカリ50Kg。
 ぐるりと抽選機が回り……
 カランカラ〜ン!
「おめでとうございます!4等、バランスボールです!」

「なんか、微妙なのが当たっちゃったわねえ……」
「そう言うわりには楽しんでるみたいじゃねえか」
 大河は大きなボールに跨ってゆらゆらと。
「うん、まあね。これは意外に……よっと」
「気をつけろよ、大河」
「そんなに心配しなくても大丈夫だってば」
 言いながら大河はそろそろと姿勢を変えて。
「いける……かな?……よっ……と……どうだ!」
 掛け声と共に大河は不安定なボールの上にすっくと立ち上がる。
「おう……すげえな大河!」
「ふふん、どうよ?」
 大河はぐいっと胸を張り……その拍子にぐらりと体が傾く。
「え?……あ……わわ……!」
「あ、あぶねえっ!」
 ばたばたと腕を振り回す大河に、咄嗟に受け止めるべく動く竜児。
 どすんっ!
 僅かに舞い上がる埃の中、大河の頭は仰向けの竜児の腹の上に。
「こ……この、ドジ……」
「い、遺憾だわー……」
「おまえ、一人でバランスボールするの禁止……おうっ!」
 突然顔を逸らした竜児に、自分の視線を下ろす大河。
 そこにはボールの上に掛かっている両脚が。当然天地が逆になったスカートはぺろんと捲れてしまっていて。
 つまり、白い三角地帯が見えてしまっていて。
「ん……んにゃあぁぁぁぁぁぁっっっ!」

 以降、高須家ではバランスボールは封印されることになったとか。




作品一覧ページに戻る   TOPにもどる

inserted by FC2 system