いつもの帰り道。夕日が2人の影を道路に伸ばしている。竜児は狩野屋の特売でお目当ての大特価牛肉をゲットできてちょっと上機嫌だ。
ちょっと後を歩く竜児に大河が話しかけた。
「ねえ、竜児。」
「あぁ?」
「私達、他の人から見たらどんな風にみえるんだろうね。」
「さあな。」
夕食のメニューに思いをはせていた竜児は適当な返事をした。
「あのね、竜児。」
「なんだよ。」
「腕組んで歩こうか。」
「ば、馬鹿。そ、そんなこと・・・」
背中から聞こえる大河の声に竜児はどきっとして振り返ると、大河は腕を胸の前で組み、仁王立ちのポーズでにやにやしている。
「変なこと考えた?私にぞんざいな返事をした罰だ。」
「あほ。」
「あほって何よ。」
「くだらないことをやった罰として、バッグを半分持てよ。」
大河は意外なことに素直にバッグの反対をつかんだ。
「これでいいんでしょ。」
そこからアパートまでは無言だったがまんざらでない時間だった。
おしまい
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