夕食後、泰子は仕事に出かけた。竜児は台所で食器の後片付けと明日の朝食の仕込みをしている。
大河は居間に寝そべり足をばたばたさせながらファッション誌を眺めている。
「そういえば、大河?」
「なに?」
雑誌から顔をあげずに曖昧な返事をする。
「前から聞こうと思っていたけど、お前、最初に家に来たとき木刀持っていただろ?」
「そうね。」
「なんで、木刀なんかもっているんだ?」
「・・・。」
やっと雑誌から顔をあげた。
「十六夜念法って知ってる?」
「いや。」
「そういうのが出来るかなと練習したのよ、昔。」
また雑誌に視線を写した大河は、これ以上面倒なことを聞くなというオーラを放っていたので竜児はそれ以上掘り下げられず、
何故か木刀を持っているんだと理解した。
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