「あ、竜児のここ、固くなってる」
「……おう、あんまり触るなよ。くすぐったいから」
「一体どうしたらこんなになるのよ?」
「それは……日々の鍛錬の賜だ」
「物は言い様ねぇ。アレを『鍛錬』と呼ぶとは恐れいったわ」
「意外と力仕事なんだ。お前もやってみればわかる。そしてきっとハマる!」
「あんたみたいな変態と一緒にしないでよ。あんなの喜んでやるのは竜児だけよ」
「おう……そう言われると反論できないな……」
「掃除のし過ぎで手にタコができるなんて。まぁ、竜児らしいけど……」
竜児の右手の人差し指には高須棒を使い込んだ者にしか出来ない「高須棒タコ」がある。
しつこい汚れやカビとの壮絶な闘いによって徐々に皮膚が厚くなったのだ。
大河は手を繋いだ拍子に今更ながら気づいた。そのタコの部分を指で弄くりながら微笑む。
「……この感触、意外と好きかも」
「おう、おま! くすぐったいって!」





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