「櫛枝、亜美ちゃんやっぱり来れないの?」
「ごめん、やっぱ無理みたい。久々にあーみんに噛みつかれたぜ。『こんな直前にそんなこと言われたってスケジュール調整つかないわよっ!』って。くわばらくわばら」
「でも亜美ちゃん式と披露宴は出るっしょ?」
「出るって大河から聞いてるぜ?」
「じゃいいか。ていうかー、櫛枝超変わんないじゃん。全日本でもその調子?マジわらえるんですけど」
「オーマイガー。言われちゃったよ。この前海外遠征の時向こうの選手と話してたらさ、チームメイトから『櫛枝英語だと普通だな』とか散々だったぜ」
「でも普通に日本語喋ってる櫛枝って想像つかないかも」
「そうかも。てか、英語しゃべれるんだ。すごくね?」
「片言だぜ。それよりおいらのほうこそ子供と遊んでる木原っちのほうが想像つかないぜ。保母さんって疲れない?」
「えー?子供かわいいっしょ?父兄うざいけど」

都内のちょっとおしゃれな、だけど財布に優しいレストランの一角。年の頃なら23、4の若い女性がテーブルを囲んできゃっきゃうふふと談笑する。面子は3人。用意されているテーブルセットの数は4人分。主賓の逢坂大河はまだきていない。

今日はその主賓のバチャラーパーティーである。つまり、明日、逢坂大河は晴れて長い間婚約関係にあった高須竜児と結婚する。極端に家族との時間を大事にする大河のこと、独身最後の日は家族と過ごすと思われたのだが、
3日前に突然櫛枝実乃梨にかかってきた「みのりんみのりん、知ってた?独身最後の日って友達とパーティーやるらしいよ?」という騒々しい電話によって、その予想は破られた。

二つ返事で幹事を買って出た実乃梨に、大河は旧2ーCの女の子と食事をしたいと言った。大学の友達は大学の友達でパーティーがあるらしい。しかしながら残念な事に、みなそれぞれ仕事がある。話が突然降って沸いたこともあって、
結局駆けつけてくれたのは木原麻耶と香椎奈々子だけである。

もっとも、他のみんなが冷たいというわけではない。麻耶と奈々子は相当無理をして来てくれたのだし、同じく実乃梨が主催する披露宴2次会には、大橋高校旧2ーCの相当数が、ほとんど同窓会のノリで駆けつけてくる。
当日は社会人である高須竜児と逢坂大河の知られざる過去について、盛大に暴露大会が行われるだろう。

「タイガー時間大丈夫って?」

お色気ぼくろもまぶしく微笑む奈々子に、実乃梨は

「大丈夫じゃないかね?大河って今日は会場のホテルに泊まるし、心配ないっすよ」

と、まるで他人事である。主賓の到着よりも、バスケットから取り出したパンにバターを塗るのに夢中の様子。

「あーあ、結局ウェディング・ドレス着るのはタイガーが一番のりか。私も早く着たいなー。って、櫛枝、バター塗り過ぎっしょ」
「へ?そうけ?」
「櫛枝って前は『ダイエット戦士』とか言ってたじゃない」
「おお、おお、懐かしい過去よ。大橋高校は遠くになりにけり。いやー、トレーナーが厳しくってさ。カロリー供給が追いつかないのよ」

えー、羨ましいとため息を漏らす二人に、実乃梨が「そう思うなら触ってみ」と、二の腕を突き出す。袖からつきだした手は真っ黒に日焼けしていて、普段トレーニング漬けであることがよくわかる。おずおずと触ってみる二人。

「すご、全然脂肪ないじゃん」
「力こぶ触ってみ?」
「きゃーっ、すごいかも」
「すごいっしょ。全身これだぜ。腹なんか蟹と喧嘩できるぐらい割れてるよ。花の乙女なんて過去のことっすよ。今の私は筋肉ゴリラ。バンッ、キュッ、ボンッの木原っちがうらやましいぜよ」
「ええっ!そんなことないよ。私最近わかったんだけどー、胸大きいとオヤジがいやらしい目でみるだけだよ。ていうか、櫛枝も視線エロいし。同世代なら奈々子みたいな大和撫子のほうがモテるみたいなんですけどー」
「あ、それ言えるかも」

と、思い切り肯定する外資系OLに二人が「何々、聞かせて?」とかぶりつきで顔を突き出す。つーか香椎っちのほうが巨乳じゃん。櫛枝なにくらべてんの、超エロイんですけど。うふふふふ、着やせもおしゃれのテクニックよ。とかなんとか。主役が登場したのは約束から5分遅れ、
そんな風にテーブルが盛り上がっている最中だった。

「ごめんごめん、遅刻遅刻。みんな来てくれてありがとう」
「タイガー遅くねー!?」
「タイガー久しぶり、元気?」
「おうおう、大河!どうした?ナンパされた?」
「道に迷った」

ガクッと三人がこけて、テーブルが笑いに包まれる。再会と大河の結婚を祝してワインで乾杯し、ようやくパーティーが始まった。互いの近況を報告し、彼氏が居るものは彼氏の愚痴、上司が居るものは上司の愚痴、
トレーナーが居るものはトレーナーの愚痴をひととおり披露したあと、話はようやく結婚の話題へと向かった。

「いやー、タイガーと高須君、長かったよね。途中大変だったっしょ」
「そうね、最初のころは焦れてたわよ」

うれしそうに大河が笑う。何年も経ってしまえば、辛いことも思い出の一つである。

「焦れるってどんな感じ?」
「今結婚しないと目の前の幸せが消えるんじゃないかって、毎晩どきどきするの」

おおー!と、3人がサラダをつつくフォークを止める。

「ね、ね、それっていつ頃のこと?」
「3年の時」
「「「うわー」」」
「てか、そんなに早く結婚の事考えてたんだ」
「え、知らなかった?竜児がプロボーズしてくれたの2年のバレンタインデーだよ」
「きゃぁああ!タイガーいつOKしたの」
「その場で」
「「うそー!」」
「それって、あのエスケープの前の日?!ちょっ、信じられないんですけど」

当時の事態をあらかた知っている実乃梨をおいて、麻耶、奈々子は驚愕の事実に呆然としている。

「あれ?」
「へんだよね?」

麻耶と奈々子が顔を見合わせる。

「何が?」

と大河。

「だって、高須君が『俺は告白したぞ』って麻耶に言ったの、確かエスケープの日だよ。あれってバレンタインデーに告白したって意味よね」
「そうよ」
「ええーっ、それおかしいっしょ」
「おかしくないわよ。竜児はバレンタインデーの日にプロポーズと告白してくれて、その次の日二人で駆け落ちするつもりだったんだもん」
「………」
「これこれ大河や、ちょいとばかし話しすぎじゃないかね」
「そうかも。みんなにはないしょね。でもこのメンバーには話してあげる。ちょっとした罪滅ぼし」
「……罪滅ぼし?」

ジェットコースター展開にあうあうあうと口を動かすだけのパニックから立ち直った奈々子が聞く。実乃梨も不思議そうな顔をしている。

「みのりんと、ばかちー、修学旅行の晩に喧嘩したでしょ。あんたたちも居たわよね」
「そりゃ、同じ班だから」
「私は居なかったよね」
「タイガーあのときどこに居たの?」
「部屋に居たのよ。だから私全部聞いてた」
「……え?どこに……」
「押入れの中。ちなみに同じ班の男子も全員居たわ」

3人とも口をあんぐりあけて何も言えない。知っていたのか、と麻耶と奈々子が目を丸くして実乃梨を見るが、実乃梨もフルフルと首を振るだけである。これまで男子数人と大河だけが知っていた事実が、外に漏れた瞬間であった。

「信じられないんですけど」
「うぉぉぉ、全部男子に聞かれてた?穴があったらはいりてぇ」
「男子何してたの?」
「さぁ、靴下の匂いでも嗅いでたんじゃない?」
「まるおひどい!」
「これで私が罪滅ぼしって言う理由わかったでしょ?あんたたちには負い目があるから今日は特別に口が軽かったわけよ。わかったらスープいただきましょ。冷えちゃうわよ」

ひとり何事もないような顔をして大河はスープを口にはこぶが、さすがに今の情報は衝撃的だったらしい。三人とも挙動不審だ。麻耶は目を泳がしているし、奈々子は気まずそうに笑っている。実乃梨はスプーンをスープに浸したままぶつぶつと呟いている。

三人がようやくペースを取り戻したのは、主菜のサーモンが出されたころである。

「みのりん、お魚なの?私お肉って言ったのに」
「大河、ここだけの情報だ。このレストランのステーキに関する真に驚くべき評価を見つけたが、それを食べるにはおいらの財布は軽すぎる」
「そんなの。はじめっからみんなの分払おうと思って貯金下ろしてきたのに」
「聞くわよね。バチャラーパーティーは結婚する人が払うとか」
「割り勘でいいっしょ」

ペースさえ戻れば、女ばかりの集団である。わいのわいのとかしましい。しかしまぁ、核心中の核心というと、やはり話題は一つで、全員の関心はそこへと導かれるように集まっていく。

「ねぇ、タイガーと高須くんって2年の4月から仲がよかったじゃない。あれって、何がきっかけ?」
「そうそう、それ教えてくれないとだめっしょ。タイガー帰さないから」
「え?それはナイショよ」

ぽっと大河が頬を赤らめてナイフとフォークを止める。となると、ギャラリーが『ないしょ』で納得するはずもない。

「櫛枝は知ってる?」
「いやー、おいらも本当のところは知らない。てか、二人に近すぎて却って聞けねぇっつーか」

実乃梨が笑いながら頭をかく。そうなると、残りの二人は俄然パワフルになる。オレンジ色のライトが美しいレストランで、教えて教えて攻撃に負けてとうとう大河が口を割った。

「実はさ、」
「「「うん」」」
「進級したころは……その……北村くんが……好きだったんだけど」
「「「うん、うん」」」
「驚かないの?」
「何となく感づいてたし」
「みんな気づいてたよ」
「へ、ほんとに?いつ頃?」
「まぁ、いろいろあって、生徒会長襲撃事件のあとは、みんな『そうなんだ』って思ってたわね。あの頃は麻耶が大変で……」

奈々子が笑いながら言うのを、麻耶が押しとどめる。

「その話はいいって!ね、タイガー、続き続き」
「うん。そいでさ。ある日、ラブレターを書いたんだけど」
「「「おお」」」
「間違って竜児のカバンにいれちゃったのね」
「「「………」」」

三人とも手に汗握る展開に目を白黒している。大河の方は顔を赤らめて、可能なら逃げだしたい様子。

「で、取り返そうと思って、夜中に竜児のとこに木刀持って殴り込んだのよ。ぶん殴ったら記憶も飛ぶかなと思って」
「……」
「……」
「高須くん可哀想」

あまりの話に奈々子が苦笑いを浮かべる。

「その晩あれやこれやあったけど、竜児が北村くん攻略に協力してくれるって約束したから、それで手を打ったの。とまあ、これが私と竜児のはじまり。最初は好きとか何とかじゃなかったのよ」
「そうかぁ、そうだったのか」
「でもそれおかしくね?」
「なにが?」
「だって私、その頃高須くんがタイガーのマンションから一緒に出てくるの朝、何度か見たよ。あのころから絶対二人は怪しいって思ってたもん」
「そういえばそんな話あったよねぇ」
「だって、『毎朝起しにきなさい!』って私が言ったんだから。毎朝起しにくるわよ」
「でも、スーパーマーケットで二人で買い物してるって話もそのころからあったっしょ」
「私、竜児んちでご飯食べてたんだもん」
「あいやー。高須くんが世話やいてたのには気づいてたけど、そこまでだったとは」
「でもタイガー、まるおの事好きだったっしょ?一人暮らしで好きじゃない男の子を部屋に入れるって、平気だったの?てか、朝起こしに来いって、身の危険とか考えなかったの?」
「まぁ、なんかあったらその時はその時よ。ベッドの横に木刀も置いてたし」
「高須くん可哀想」

奈々子がまた苦笑いを浮かべる。

「それに……」

と、大河は言いにくそうに言葉をきって

「竜児がそばに居ると、何ていうか、その、落ち着いたし」

と、唇を尖らせる。ようやく本心を漏らした大河に三人ともにんまり。

「なんだ、やっぱり初めから高須くんのこと好きだったんじゃない」
「えー、だったらまるおから手を引いてくれればよかったのに」
「おうおう、揺れる乙女心だったんだねぇ」
「ちがうって!竜児の事は最初は別に好きとかじゃなくて……」

いいからいいから、となだめられて大河は顔を赤くしている。

「とにかく、最初は竜児のこと好きとかじゃなくて、一緒に北村君攻略作戦やってたの」
「はいはい、そういうことにしとこ」
「あ、そう言えば。あんた竜児に狙われていたの気づいてた?」
「へ、なに?!」

想定外の展開に、思わず麻耶が顔を赤くして自分の体をかき抱くようにする。めをぱっと大きくした奈々子が「何?何?」と身を乗り出す。

「体育の時間にバスケのパスの練習やったじゃない。あのとき、竜児があんたを狙ってたのよ」
「狙ってたって……」
「あんたに竜児がボールをぶつけて保健室送りにするでしょ。そうしたら北村君と私がパスの練習できるって作戦よ」
「なにそれ!」
「おー、ヒットマン高須か」
「うふふ、高須君が麻耶の事狙うって、別の意味かとおもっちゃった」
「そんなわけないじゃん」

だって、と言いかけて大河は瞬間口をつぐむ。麻耶も奈々子も気づいてない。実乃梨は大河と目が合った瞬間に片方の眉を上げて見せただけ。まぁ、この話題は2人とも知っているのだが。あるいは2人とも気を遣ってその話題を避けているのかもしれない。

「でもそれ、超酷くね?高須君そんなことする人じゃないと思ってたのに」
「ま、当初の計画では北村君は男子とパス練習するだろうって竜児は予想してたんだけどね。あんたが組んだからあんたを殺れって竜児に言ったのよ」
「それって黒幕タイガーよね」

テーブルが笑いに包まれる。大河の暴露話はどれをとってもばかばかしくて、彼女たちのテーブルには笑いが絶えない。おしゃべりと笑いに興じるうちに、デザートのアイスクリームが届けられた。

「そうだ、タイガーいつの間に名字変わってたの?」
「へ?」
「招待状、『逢坂』じゃなかったから、初め何のことか分からなかったよ」
「ああ、あれ。名字なんか3年の時には変わってたわよ」
「「え?!」」

実乃梨を除く二人が驚く。

「櫛枝知ってた?」
「うん。私はね」

実乃梨は話を振られて言いにくそうにしているが、大河の方はさっきと打って変わって堂々としている。手乗りタイガーと呼ばれたころの傲然とした雰囲気すらまとっている。

「そっか、タイガーお母さんのほうに引き取られたんだよね」
「そ。ママは今のパパと結婚して姓が変わってたから、私も無理やり変えられたの」
「気まずかったでしょ?私も新しいお母さんとは最初ギクシャクしたもん」
「あ、そっか。あんた片親だって修学旅行の時言ってたわよね」
「香椎っちのお父さんはいつ再婚したんだい?」
「私が大学に進んでから。合格のお祝いしてもらった次の日に『実は』って切り出されちゃった」
「奈々子けっこう、悩んでたよねぇ」
「すまねぇ。おいら全然気づかなかったぜよ」
「だって、麻耶と亜美ちゃん以外には言わなかったもん。それに櫛枝クラス違ってたじゃない」
「ふーん、あんたも大変だったのね」
「タイガーは?」
「私は気まずかろうが何だろうが、体当たりよ」
「タイガーらしいね」
「竜児がさ、まぁ、いろいろあって。竜児の事だからあんまり話せないけど。お手本見せてくれたわけ。だったら私も頑張るしかないじゃない。だから体当たりよ」
「そっかぁ」
「でも、3年の時『逢坂大河』だったよね」
「そ。姓が変わった届けはちゃんと学校に出したけど、先生には『逢坂で行きます』って言ったから」
「それってありなの?」
「知らないわよ『私…家庭環境が複雑で』って半泣きして見せたらあっさり許してくれたわよ」

あきれる2人。事情を知っているらしい実乃梨は横を向いて吹けない口笛を吹いている。

「お母さん、怒ったんじゃない?」
「怒ったわね。当然学校からは『親の承諾もってこい』って言われたし。『承諾して』って言ったらすごい剣幕で怒ってたわ」
「うわー」
「ほとんどの事は親の言うとおりにしようと思ってたけど、これだけは譲らなかったの。ま、ちょっと子供っぽい当てつけよね。私の事振り回したんだし。大学でも『逢坂大河』で通したわよ」
「ひぇー」
「パパは知らないけどね」
「「「えーっ!」」」
「って、櫛枝知ってたんじゃないの?!」
「いやいや、こいつは初耳だ」
「だって、当てつけたいのはママだもん。さすがにパパは可哀想よ。私に気を使ってるの知ってたし」
「でも普通バレるっしょ」
「大学の話は全部ママに持って行ったから大丈夫。そういうわけで、大学を出るまで私は『逢坂大河』で通してたわよ」
「なんていうか。こだわるわね」

あきれたような奈々子に大河は少し頬を染めて。

「だって。竜児と出会ったときには『逢坂』だったんだもん。そのままお嫁に行きたいじゃない。」
「あらぁ」
「結局会社じゃ逢坂じゃ無くなったけどね。悪あがきはしたかったのよ」
「高須君は名字のこと、何て言ってるの?」
「竜児?『嫁に来てくれるのなら名字なんて何でもいい』って。えへへ」
「ごちそうさま」
「あちーよ、大河あちーよ」
「高須君優しいなぁ。私も早くそんな優しい彼氏超超ほしいんだけど。ねぇ、櫛枝?全日本にいい人いない?スポーツマンかっこいいしょ」
「みんなウーマンだぜ。そっちのケがあるならおいらは紹介するけど」
「そうか、そうだよね」

独りしょげる麻耶の横で、奈々子が話を大河に向ける。

「高須君、優しくしてくれてるみたいね」
「うん。竜児いつも優しいよ」

このときばかりは、教室で見せたことのない笑顔で大河が笑った。そんなこんなで話も尽きないが、残念ながらずっとずっとガールトークを楽しむことはできない。

「さて、みんな。積もる話はあるけれど、ここらで時間も押してきた。明日はめでてぇ、挙式の日。遅刻があっちゃ、あ、困らあな。てことで、そろそろお開きだべ」
「櫛枝、レストランの人、困ってる」
「まぁまぁ。じゃ、大河。最後に何か一言びしっと決めてくんな」
「え?私?」

振られた大河が目を丸くする。

「当たり前だよ。今日はあんたのためのパーティーなんだから。主賓が挨拶しないでどうするのよ」
「そっか、じゃぁ」

と、大河は姿勢を正すと一同を見回し、目を線のように細めてにっこり笑いながら言った。

「そういうわけで今日は逢坂大河最後の日なのです。これまで応援ありがとう。これからは高須大河をよろしくお願いします」

「大河、あんたこういう時は来てくれた人へお礼を言うもんだよ」

(おしまい)



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