「ねえ竜児、私達何してるのかしら」
 眉根を寄せて呟く大河。
「何って……勉強だろ」
 卓袱台の上、並んで座る二人の前には広げられたテキストとノート。
「せっかく二人きりなんだし、もっと恋人っぽいこととかしたいと思わない?」
「そりゃ、思うけど……復帰したばっかりだから、休学してた間の勉強教えてくれって言い出したのは大河じゃねえか」
「そんなもの、竜児と一緒に居るための口実に決まってるじゃないの。だから、ねえ……」
 寄りかかる大河に、しかし竜児は首を横に振る。
「……いや、駄目だ。勉強するって言った以上は、きちんとしないと大河の親御さんに顔向けできねえ」
「まったく、竜児ってば糞真面目なんだから……」
「おう、真面目と誠実が俺の身上だからな」
「そうだ、ご褒美とかもらえたら勉強にもやる気出るかも」
「ご褒美って……何だよ?」
「そうね……1ページ終らせるごとにキス一回とか」
「……駄目だ。いちいちそんなことしてたら余計な時間がかかりすぎるじゃねえか」
「ぶー。竜児のケチー」
「その……そういうのは、後でまとめて、な」
 頬を赤らめる竜児に、大河はにんまりと笑って。
「このエロ犬♪」
「……嬉しそうに言うんじゃねえよ」
「さー、ちゃっちゃと進めるわよー。やっちゃんが帰ってくる前に終らせないと!」



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